「ウール」と「カシミヤ(カシミア)」の違いって?

POINT
ウールの毛から作る毛織物のこと。カシミヤと比べると保温力は劣るが、安価な傾向にある。
カシミヤ
(カシミア)
カシミヤヤギの毛から作る毛織物のこと。希少価値が高いため、カシミヤ製品は高価になりやすい。ウールよりも暖かくて軽いなどの特徴がある。

マフラー

ウールとカシミヤ(カシミア)の違い

「ウール」と「カシミヤ(カシミア)」は、いずれも動物の毛を原料とする毛織物という点においては同じである。しかし両者は、下記のような点において違いがみられる。

原料

まず両者は、原料となる毛が取れる動物が異なっている。

  • ウール:羊
  • カシミヤ:カシミヤヤギ

ウールとは一般的に、羊の毛で織った毛織物のことを指す(※1)。

1 アルパカ・アンゴラ・ラクダなどの毛もウールと呼ぶことがある。

羊

他方でカシミヤとは、カシミヤヤギの毛で織った毛織物のことを指す。カシミヤヤギとは、インドのカシミール地方及びチベットを原産とするヤギのことである。

カシミヤヤギ

カシミヤヤギ

質や機能性

カシミヤのマフラー

両者は、質や機能性の面でも違いがみられる。

  • ウール:カシミヤよりは暖かくない
  • カシミヤ:暖かい

ウールも一般的には保温力に優れた素材であるが、カシミヤのそれには及ばないといわれている。その理由は、カシミヤはウールよりも繊維が細い(※2)ことにある。

繊維が細いと織った時に風を通しにくくなるため、カシミヤのほうがウールより暖かい。

2 ウールが約20マイクロメートルに対して、カシミヤは約15マイクロメートルである。

また他にもカシミヤはウールに比べ、下記ような特徴も有している。

  • 軽い
  • 光沢が良い
  • 肌ざわりが良い

値段

両者は、製品の値段についても違いがみられる。

  • ウール:安い
  • カシミヤ:高い

このようになる理由は、下記の通りである。

飼育頭数の差

放牧された羊

ウールに使う羊はオーストラリア(※3)・ニュージーランド・ヨーロッパなど、世界中の多くの地域で飼育されており、およそ10億頭(2016年の数値)の羊が存在するといわれている。

他方でカシミヤヤギの産地(※4)は限られており、飼育されているのはおよそ8,000万頭(2016年の数値)といわれている。よって、カシミヤヤギは羊よりも、圧倒的に飼育頭数が少ないことがわかる。

3 特にオーストラリアのメリノ種は最高級のウールとして有名

4 中国・モンゴル・イランなど

1頭から取れる毛の量

毛を刈られている羊

カシミヤとして使われる毛は、カシミヤヤギの「産毛」の部分である。そのため1頭のカシミヤヤギから取れる毛の量は、150~250gと少量である。

他方でウールについて見てみると、1頭の羊から取れる毛の量は4kg程度である。よって1頭から取れるカシミヤの毛の量は、ウールと比べて圧倒的に少ないことがわかる。

毛の集め方

羊の毛を集めているところ

ウールに使う羊の毛は、バリカンで一気に刈ることができる。

他方でカシミヤは櫛ですいて産毛を集めなくてはならないため、時間がかかる

よってカシミヤのほうが、ウールよりも製品化するのに手間がかかっていることがわかる。

以上より、カシミヤはウールに比べて希少価値が高い(※5)といえる。それゆえに、カシミヤ製品はウール製品と比べると高価になる。

5 カシミヤは質の高さもあり、「繊維の宝石」とも呼ばれている。

まとめ

ウールカシミヤ
動物カシミヤヤギ
製品の値段安い高い
質の特徴(ウールと比べて)暖かい・軽い・光沢と肌ざわりが良い
【飼育頭数】
(2016年時点)
約10億頭約8,000万頭
【1頭から取れる量】約4kg約150~250g
【集め方】バリカンで刈る(手間がかからない)櫛ですく(手間がかかる)