「国立公園」と「国定公園」と「国営公園」の違いって?

POINT
国立公園自然公園法に基づいて設置される公園(自然の景勝地)のこと。環境大臣が指定し、環境省が管理を行う。
国定公園自然公園法に基づいて設置される公園(国立公園に準ずる自然の景勝地)のこと。環境大臣が指定し、各都道府県が管理を行う。
国営公園都市公園法に基づいて設置される公園(都市公園)のこと。国土交通大臣が指定し、国土交通省が管理を行う。

山

概要

国立公園とは

知床国立公園

知床国立公園(北海道)

国立公園とは国が指定・管理を行う公園のことで、国を代表する景勝地(※)が選ばれる。日本では自然公園法という法律に基づき、環境大臣が指定する仕組みである。

景勝地(けいしょうち):景色がすぐれている土地のこと。

国立公園の定義

我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海域の景観地を含む。次章第六節及び第七十四条を除き、以下同じ。)であつて、環境大臣が第五条第一項の規定により指定するものをいう。

「自然公園法第二条二項」より

国立公園は、環境大臣が、関係都道府県及び中央環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴き、区域を定めて指定する。

「自然公園法第五条一項」より

国立公園の例

下記の国立公園は、すべて世界遺産に登録されている。

  • 知床国立公園(北海道)
  • 日光国立公園(福島県・栃木県・群馬県)
  • 小笠原国立公園(東京都)
  • 富士箱根伊豆国立公園(東京都・神奈川県・山梨県・静岡県)
  • 吉野熊野国立公園(三重県・奈良県・和歌山県)
  • 瀬戸内海国立公園(兵庫県・和歌山県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・福岡県・大分県)
  • 屋久島国立公園(鹿児島県)

国定公園とは

大沼国定公園

大沼国定公園(北海道)

国定公園とは国が指定、都道府県が管理を行う公園のことで、国立公園に準ずる景勝地が選ばれる。自然公園法に基づいて都道府県知事が申請し、環境大臣が指定する仕組みである。

国定公園の定義

国立公園に準ずる優れた自然の風景地であつて、環境大臣が第五条第二項の規定により指定するものをいう。

「自然公園法第二条三項」より

国定公園は、環境大臣が、関係都道府県の申出により、審議会の意見を聴き、区域を定めて指定する。

「自然公園法第五条二項」より

国定公園の例
  • 大沼国定公園(北海道)
  • 明治の森高尾国定公園(東京都)
  • 能登半島国定公園(富山県・石川県)
  • 秋吉台国定公園(山口県)
  • 九州中央山地国定公園(熊本県・宮崎県)

国営公園とは

国営昭和記念公園

国営昭和記念公園(東京都)

国営公園とは、国が設置・管理を行う都市公園(定義は下記参照)のことである。都市公園法という法律に基づき、国土交通大臣が指定する仕組みである。

都市公園の定義の定義

この法律において「都市公園」とは、次に掲げる公園又は緑地で、その設置者である地方公共団体又は国が当該公園又は緑地に設ける公園施設を含むものとする。
一 都市計画施設(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第六項に規定する都市計画施設をいう。次号において同じ。)である公園又は緑地で地方公共団体が設置するもの及び地方公共団体が同条第二項に規定する都市計画区域内において設置する公園又は緑地
二 次に掲げる公園又は緑地で国が設置するもの
イ 一の都府県の区域を超えるような広域の見地から設置する都市計画施設である公園又は緑地(ロに該当するものを除く。)
ロ 国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るため閣議の決定を経て設置する都市計画施設である公園又は緑地

「都市公園法第二条」より

国営公園の例
  • 国営ひたち海浜公園(茨城県)
  • 国営昭和記念公園(東京都)
  • 国営木曽三川公園(岐阜県・愛知県・三重県)
  • 国営平城宮跡歴史公園(奈良県)
  • 国営沖縄記念公園(沖縄県)

国立公園と国定公園と国営公園の違い

「国立公園」「国定公園」「国営公園」はいずれも国が指定(設置)する公園であるが、法律および所管において違いがみられる。

基づく法律

「国立公園」「国定公園」「国営公園」は、基づく法律が違う。国立公園および国定公園は、ともに自然公園法に基づいて指定されている。

他方で国営公園は、都市公園法に基づいて設置されている。ここで、2つの法律の目的を確認してみる。

自然公園法の目的は、「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与すること」である。

一方で都市公園法の目的は、「都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること」である。

すなわち、国立公園・国定公園は自然の景勝地が対象であるのに対し、国営公園は都市公園が対象である。

所管

法律の違いに基づき、「国立公園」「国定公園」「国営公園」は所管(指定者・管理者)も異なっている。

国立公園は環境大臣が指定し、環境省が管理をする。国定公園も環境大臣が指定するが、管理にあたるのは都道府県である。国営公園に関しては国土交通大臣が設置し、国土交通省が管理する。

まとめ

国立公園国定公園国営公園
法律自然公園法自然公園法都市公園法
指定・設置環境大臣環境大臣国土交通大臣
管理環境省都道府県国土交通省