「上院議員」と「下院議員」の違いって?

POINT
上院議員一般国民の投票ではない方法で選ばれる議員のこと。下院の動きを規制する役割を期待されている。
下院議員一般国民の投票によって選ばれる議員のこと。国民の意見を、より反映した議論が期待されている。

ホワイトハウス

上院議員と下院議員は、いずれも二院制度を採用している国の国会議員である点で共通している。しかし、選出方法や担っている役割などには違いが見られる。

公選によって選ばれるか否か

投票箱

公選とは、一般国民の投票による選挙のことである。この公選によって選ばれるかどうかについて、上院議員と下院議員は区別することができる。

上院議員は公選によらない

上院議員とは、公選などによらないで選出された議員のことである。具体的な選出方法は国によって異なる。

例えば、イギリスの上院である「貴族院」は、貴族や資産階級などの特権階級の代表者から構成されている。またアメリカ合衆国の「上院」では、各州を代表する議員たちから構成されている。

下院議員は公選で選ばれる

これに対して下院議員とは、直接の公選で選ばれる議員のことである。

それぞれが担う役割

上院は下院のチェック機能を果たす

上院には下院の動きを規制するという役割がある。そのため、上院議員の任期は下院議員よりも長く、解散もないのが一般である。また、議員の資格についても下院議員より年長である場合が多い。

下院には優位性がある

下院議員は、国民の投票によって選出されるため、より民意を反映することができると考えられる。議会制民主主義が発達するに伴い、上院よりも下院を上位に位置づける国が多くなった。そのため、予算議定権などについては上院よりも下院の意見が尊重される。これを「下院優越の原則」という。

日本における上院と下院

国会議事堂

上院は参議院

日本における上院は、参議院である。現在の日本において、衆議院と参議院の両院は、いずれも公選によって選ばれた議員たちによって構成されている。しかし歴史を振り返ると、参議院はかつての明治憲法下では貴族院であった。

貴族院は華族らの世襲議員や互選によって選ばれた多額納税者の議員たちなどによって構成されていた。当時は国民を直接代表する立場ではないことから、二院制における上院であった。

下院は衆議院

これに対して、下院に該当するのは衆議院である。衆議院議員は明治憲法下においても、公選によって選出されていた。市民を代表する立場であるから、衆議院議員のことを「代議士」と呼ぶのは、当時の名残である。

まとめ

以上、一般的な上院と下院の違いをまとめると、下記のようになる。もちろん、国によっては例外もある。

上院下院
選出方法公選ではない公選による
役割下院の動きを規制民意の反映
→下院優越の原則
日本参議院(貴族院の流れを汲む)衆議院