【特殊部隊】「SIT」と「SAT」の違いって?

POINT
SIT身代金目的の誘拐事件や人質立てこもり事件などに対処するための特殊部隊。全国の警察の刑事部門に置かれている。人質や犯人の確保を最優先としている。
SATテロ事件やハイジャック事件などに対処する対処するための特殊部隊。全国でも一部の警察の警備部門に置かれている。事件の制圧を最優先としている。

特殊部隊

SITとSATの違い

SIT(エス・アイ・ティー)とSAT(サット)はいずれも、日本の警察に置かれている特殊部隊という点では同じである。ともに略称アルファベット3文字であることから区別がつきにくいが、両者には以下のような違いが存在する。

任務・設置場所

SIT

SIT(special investigation teamの略)とは、身代金目的の誘拐事件・人質立てこもり事件などの対処を任務とする特殊事件捜査班のことをいう。

各都道府県警察の刑事部門に置かれている。なおSITという呼び方は、警視庁(東京)や愛知県警などで使われているが、全国的に統一された公式名称ではない。例えば、

  • 埼玉県警:STS(Special Tactical Section)
  • 神奈川県警:SIS(Special Investigation Squad)
  • 大阪府警:MAAT(Martial Arts Attack Team)

という組織名も存在している。

SITの設置は、は昭和38年(1963)に起きた吉展(よしのぶ)ちゃん事件(※1)がきっかけとなった。この事件における 捜査不手際の批判を受け、警視庁内に設置されたのが最初である。

1 4歳の男児が誘拐された事件。犯人に身代金を奪われたうえ、男児も遺体で発見された。

SAT

一方でSAT (special assault teamの略)とは、テロ・ハイジャック・人質事件などの対処を任務とする特殊急襲部隊のことをいう。

警視庁・大阪府警・一部県警の警備部に置かれている。

SATは昭和52年(1977)に起きたダッカ事件(※2)をきっかけに、警視庁と大阪府警に設置されたのが最初である。

2 日本赤軍による日航機ハイジャック事件。犯人らは日本の獄中にいる過激派活動家の釈放・出国および身代金を要求し、日本政府は超法規的措置としてこれを受け入れた。

いきなりの武力行使は可能か?

SITの任務では、人質の救出・犯人の逮捕が優先される。

一方でSATの任務では、事件の制圧が優先される。すなわち、SITはまず犯人への説得・交渉などを試みる一方、SATは場合によってはそれらを省き、犯人を射殺することもあり得るということである。

そのためSITよりもSATのほうが、高性能の銃器・防具類を装備しており、より凶悪な事件に対応することが可能となっている。

まとめ

SITSAT
任務身代金目的の誘拐事件・人質立てこもり事件などへの対処テロ・ハイジャック・人質事件などへの対処
設置場所各都道府県警察の刑事部一部警察の警備部
いきなりの武力行使不可