「慣用句」「ことわざ」「故事成語」「四字熟語」の違いって?

POINT
慣用句二つ以上の語が連結して全体で特別な意味を表現するようになった短い言い回しのこと。広い意味ではことわざや故事成語や四字熟語も含む。
ことわざ古くから言い習わされる短い句で、格言や真理、知恵のようなものを表現している言葉。
四字熟語漢字4文字で構成される深い意味を持った熟語のこと。中国の故事や仏典などからできた言葉が多い。
故事成語故事とは昔から伝えられてきたいわれのある事柄のことで、慣用句とことわざと四字熟語の中で故事に語源を持つ言葉

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言葉の意味

慣用句とことわざと四字熟語と故事成語の関係図

慣用句・ことわざ・四字熟語・故事成語の関係図

慣用句

慣用句のイメージイラスト

二つ以上の語が連結し、単にそれらの言葉だけでは推測できないような特別な意味がある言葉を指す。もとは気の利いた言い回しのようなもので、それが一般に定着した言葉である。

多くが比喩(ひゆ)的表現で、複雑なイメージを直感的にわかりやすく伝えることができる。

  • 頭を下げる→謝る・お辞儀をする
  • 顔を合わせる→会う
  • 手を下す→自分で行う・手をつける
  • 火を通す→食べ物に熱を加える

ことわざ(諺)

ことわざのイメージ画像

昔から言い習わされている短い句で、格言や知恵をわかりやすく言い表した言葉を指す。

元々はは「言(こと)の業(わざ)」で、言葉全般を指すものだったが、「いろはかるた」のような巧みな表現を指すようになった。そのため語呂の良いものが多く、二息で言えるようなリズミカルなものや逆説的な言葉を並べて印象的な文句にしたものなど、言葉遊び的な要素が多く含まれている。

批判的諺・教訓的諺・経験的諺・遊戯的諺に分類され、格言のようなものから迷信や天候など、民俗に根ざしたものまでさまざまなものがある。

  • 井の中の蛙(批判的諺)→狭い世界に閉じこもって、広い世界を知らないこと
  • 時は金なり(教訓的諺)→時間はお金と同じように貴重であること
  • ひなたごぼうに陰なすび(経験的諺)→植物によって雨の好みが変わること
  • 月とスッポン(遊戯的諺)→2つの間に比較にならないほど違いがあること

四字熟語

四字熟語のイメージ画像

4つの漢字が連結し、それぞれの漢字の意味から推測できないような特別な意味を持つ熟語(※1)を指す。

中国においては4文字の漢字の区切りで使う慣用句を「成語」といい、古来より生活に密着して使われてきたもので、日本でも古くから伝わってきている。同じ故事(※2)でも日本での使われ方の意味や漢字が変化しているものもある。

1 熟語とは語が複合して新しい意味として使われるようなもののことで、慣用句の一種とされる。

2 昔から伝わっている話のこと。

「四字熟語」という言葉は比較的新しく、1985年に出版された真藤建志郎著『「四字熟語」の辞典-活用引用自由自在』が元祖といわれている。そのため、四字熟語というと、中国の故事や仏典に加えて「一期一会」など日本の言葉も含めた、含蓄の深い(内に含みを持った深い意味)言葉が定義になっており、「株式会社」などの単に語をつなげただけのものは入らないのが一般的である。

  • 四面楚歌→周りが敵ばかりで、孤立して助けがないこと
  • 画竜点睛→物事の最後の大事な仕上げのこと
  • 一期一会→生涯に一度限りということ

故事成語

矛盾のイラスト

なんでも貫ける矛となにも貫かない盾「矛盾」の意味

故事とは昔から言い習わされている事柄や言葉ので、史実や言い伝えなどのことである。故事成語は、故事を語源とし、ひとまとまりで慣用句のように使われる言葉を指す。故事成句ともいう。

「矛盾」や「完璧」のように言葉として繰り返し使われることで本来の故事の意味が失われ、一見して故事に語源があることがわからないほど熟語として定着しているものも多い。

  • 完璧→欠点がなく完全であること
  • 四面楚歌
  • 漁夫の利→争っている当事者ではなく、第三者が利益をさらうこと

代表的な使い方

慣用句

慣用句は用例を示さないとその言葉だけで意味を推察できないようなもので、文章の中に語尾を変化させて組み込まれるような使われ方をする。

  • 顔を合わせる(会う意味)→あの人とは毎日顔を合わせている

「あの人と毎日会っている」という表現よりも、わざわざ機会を作らなくても自然に会う環境にあるようなニュアンスとなる。

ことわざ

あくまで短い句として独立しているため慣用句のように文句自体を変化させることはなくそのまま使われる。

  • 雨降って地固まる→「雨降って地固まる」で収まった

「揉め事のあとにかえって良くなること」を意味し、その例えとして使われる。単に言葉だけ「雨が降って」「地面が固まる」では、その意味を推察できないため、慣用句とも言えるが、文句として独立していることと知恵や教訓のようなニュアンスが大きいため、一般的にはことわざに分類される。

四字熟語

〇〇〇〇のごとく、〇〇〇〇のようになど、ことわざと同じく、独立した一つの語として使われる。

  • 四面楚歌(回りが敵ばかりな状態)→四面楚歌の状態にある
故事成語

慣用句・ことわざ・四字熟語の中でも特に故事を語源に持つものを指す。

  • 慣用句→矛盾(『韓非子・難一』より)
  • ことわざ→井の中の蛙(『荘子・秋水』より)
  • 四字熟語→四面楚歌(『史記』より)

どれも中国の故事にまつわるもので、それぞれの用法に従って使われる。