「サメ(鮫)」と「フカ(鱶)」の違いって?

POINT
サメ軟骨魚類の中の板鰓亜綱(ばんさいあこう)のうちサメ目に属する種の総称
フカ古くから使われてきたサメの俗称で、大きいサメを指す事が多い。特に関西地方以南で使われる。

ホホジロザメ

使い方の違いと名称の語源

サメ(鮫)

シュモクザメ

シュモクザメ

サメを単にカタカナで表記する場合、分類学上の「軟骨魚類の中の板鰓亜綱のうちサメ目」の種の総称として使われる。サメは、日本近海に古くから生息する身近な生物であったため、使われ方や定義が時代ごとに変わってきた。

カタカナ表記が学術的な使われ方なのに対し、漢字で「鮫」と表記する場合、美的表現や文化的習慣などで使われる場合が多い。

サメの語源は「サ」は「狭い」「小さい」、「メ」は「目」から、「狭い目」を意味すると言われる。

フカ(鱶)

フカはサメの別名として古くから使われてきた名称で「大型サメを指す俗称」といわれ、特に関西地方以南で使われる。実際にどの種が呼ばれるかという明確な定義はなく、その使われ方は曖昧である。

サメの別名としてはフカの他に「ワニ」もある。

古くは関東以北が「サメ」関西以南が「フカ」、特に山陰地方は「ワニ」が使われていた。(山陰である出雲の神話「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」で出てくる「ワニ」はサメを表現していたといわれている)

ネムリブカ

ネムリブカ

現在は食材として「フカヒレ」料理名の「フカの湯引き」、和名としての「○○フカ、○○ブカ」に残るのみで、今ではあまり一般的に使われない

フカの語源は「深いところに住む」ところから来ているといわれる。

ことわざで「ふかほど寝る(いびきをかいて寝入るさま)」などとも使われる。

サメの生物学的分類

サメは、脊椎動物門の軟骨魚綱、板鰓亜綱(ばんさいあこう)、サメ目亜区の下位に9目34科105属509種に区別される(諸説あり)。最大種は約20mのジンベエザメで、最小は約20cmのツノザメと、種ごとに大きさは異なる。

ジンベエザメ

最大種のジンベエザメ

ツノザメ

最小種のツノザメ

分類学上ではエイと近縁関係にあり、下の図のように板鰓亜綱はサメ目とエイ目の2つに分類されることが多い。

サメとエイの分類の解説図

サメとエイの違いは、水の排出口である鰓孔(えらあな)が側面にあるのがサメ、下側の腹面にあるのがエイと区別される。しかし、サカタザメという名前を持つエイや、エイのような見た目で扁平な形をしているカスザメなども存在している。

サメにつけられた和名

生物のそれぞれの種には、世界共通でつけられた名前である「学名」の他に、ある程度学問的に整理された日本のみで使われる「和名」がある。

サメの場合、以下のような他の生き物の名前と深く関係のある和名を持っているものが多くいる。

区別和名
フカの和名を持つサメヤジブカ(メジロザメ)、サバブカ(イタチザメ)、ネムリブカ、ドタブカ、ラブカ、エイラクブカなど
ワニの和名を持つサメオオワニザメ、ミズワニ、シロワニなど
クジラの和名を持つサメホソフジクジラ、ヒレタカフジクジラなど
サメの和名を持つが、サメではないものコバンザメ、チョウザメ、ギンザメなど