「世界恐慌」と「金融危機」の違いって?
POINT
世界恐慌 | ひとつの国が大不況に陥ると、他の資本主義諸国をも次々と襲う大不況のこと。供給が需要を上回って起こる。 |
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金融危機 | 金融機関などに対する不安が引き金となって起こる経済危機のこと。 |
記事の目次
「世界恐慌」は過剰生産・過剰投資が原因
「世界恐慌」とは、資本主義の発展によって世界各国の市場同士の結びつきが強くなった結果、それらの国々を連鎖的に襲う過剰生産(過剰投資)恐慌のことを指す。恐慌は不況とは違って、経済が急に、極端に落ち込む状態である。
特に「世界恐慌」という言葉は1929~33年、ニューヨーク株式市場の大暴落をきっかけとして、その後世界の資本主義諸国に拡大した大恐慌のことを指す場合もある。当時のアメリカでは自動車産業などで供給が過剰、ヨーロッパでも農産物の過剰生産が行われていた。
「金融危機」はその名の通り金融不安が原因
これに対して「金融危機」とは、景気悪化などが原因で金融不安が増大、金融機関の経営が悪化したり、企業の連鎖的な倒産、株価の下落などが起こったりすることである。「世界恐慌」ほどではないが、かなり危機的な状況を指す。
2008年に起こった、いわゆるリーマンショックもその例である。これはサブプライムローン(※)の破綻を原因として起こった。投資家が預けた資金が戻ってこず、金融不安が引き起こされ、金融危機となった。
この状況を受けて資金の流れがストップし、経済そのものが悪化、製造業までが煽りを受けるに至った。
リーマンショックが発生した当初は「金融危機」と言われることが多かったが、その後の世界経済への影響があまりにも大きかったため、これも「世界恐慌」であったと表現することもある。
アメリカの低所得者向けの住宅ローンのこと。住宅価格の上昇を前提として多くの人びとに貸し出しを行っていた。しかし住宅バブルがはじけたのをきっかけとして、これが組み込まれていた金融商品に多額の損害が出た。