「オリンピック」と「パラリンピック」の違いって?
- いずれも4年に一度、同じ場所で開催される国際競技大会。
オリンピック (近代オリンピック) | 健常者が出場する、スポーツ最高峰の国際競技大会。クーベルタン男爵が提唱し、1896年から開催されている。 |
---|---|
パラリンピック | 特定の障がいのある人が出場する、スポーツ最高峰の国際競技大会。パラリンピックに特有の競技や独自ルールなどがある。元々は脊髄損傷者のリハビリのための大会で、1948年から開催されている。 |
記事の目次
オリンピックとパラリンピックの違い
競技者
オリンピックの競技者は、健常者(⇔障がい者)が中心である。ただし、過去には障がい者がオリンピックに出場した例も見られる。
他方で、パラリンピックの競技者は特定の障がいのある人である。ここで「特定の」とは、パラリンピックに聴覚障がい者の参加は認められておらず、別にデフリンピック(デフ“deaf”は耳が聞こえないの意)という独自の大会が開催されているためである。
競技
オリンピックとパラリンピックでは、実施される競技が異なる。以下は2020年の東京オリンピック・パラリンピックでにおける競技である。
オリンピックにしかない競技(〇)、パラリンピックにしかない競技(◇)、両者に共通する競技(印なし)がある。
オリンピック (33競技) | パラリンピック (22競技) |
---|---|
|
|
ルール
オリンピックとパラリンピックで共通して実施される競技でも、ルールが少し変わっていたり、障がいの重さによって出場者のクラス分けが行われたりしている。
【例1】柔道
- オリンピック:対戦相手と離れた状態から試合開始
- パラリンピック:視覚障がい者同士の場合、最初から対戦相手と組んだ状態から試合開始
【例2】水泳
- オリンピック:全員が飛び込みスタート
- パラリンピック:飛び込みスタートが困難な場合、水中からのスタート可
発祥
オリンピック(近代オリンピック)は、フランス人のクーベルタン男爵の提唱に始まる。1896年、ギリシャのアテネで第1回大会が開催された。以降、4年に一度(1940年・1944年は中止)開催されている。
他方でパラリンピックは、イギリス・ストークマンデビル病院のグットマン博士らが、脊髄損傷者のリハビリのためにスポーツを推奨したことに始まる。1948年に初めて開催され、1952年以降は国際的競技大会に発展した。現在のよう4年に一度、オリンピックと同じ開催地で行われるようになったのは、1960年以降である。
なお、パラリンピックの「パラ」は当初、“paraplegia”(下半身まひ)の意味であった。ただし、それ以外の障がいのある人も参加する現在では、“parallel”(並行の、もう一つのという意)という意味へと変わっている。
メダルのデザイン
オリンピックとパラリンピックでは、メダルのデザインにも違いがある。オリンピックとパラリンピックにおけるメダルの規定は共通だが、両者のデザインは大会ごとに異なっている。
出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京2020オリンピックメダル」
出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「東京2020パラリンピックメダル」
- 大きさ:直径70mm~120mm
- 重さ:500g~800g
- 形:原則は丸型
- デザイン:オリンピックムーブメントの価値を表現・尊重し、文化的・美的要素をふまえ、織委員会のルック要素・ビジョンに沿ったもの など
まとめ
オリンピック | パラリンピック | |
---|---|---|
競技者 | 多くは健常者 | 特定の障がいのある人 (聴覚障がい → デフリンピック) |
独自の競技 | ボクシング・サッカー・近代五種など | ボッチャ・シッティングバレーボール・車いすラグビーなど |
独自のルール | ― | 障がいによる競技ルールの変更・クラス分けあり |
発祥・歴史 | クーベルタン男爵の提唱/ 1896年アテネ大会~4年に一度 | 脊髄損傷者のリハビリ/ 1948年より開催 1952年~国際的競技大会に 1960年~4年に一度、オリンピックと同開催地に |
メダル | 規定は同じだが、大会ごとにデザインが異なる |