「イモリ」と「ヤモリ」の違いって?

POINT
イモリ両生類水辺に棲む。皮膚呼吸をするため、皮膚全体が粘膜に覆われ、ヌメヌメとしている。日本では一般的にアカハライモリのことを指す。
ヤモリ爬虫類に棲む。体表はトカゲや蛇などと同じようにウロコがあり、乾燥しゴツゴツとしている。日本では一般的にニホンヤモリのことを指す。

イモリ

種類

イモリ

イモリの図解

有尾目イモリ科の両生類

単にイモリという場合、日本で最も一般的な種類である「アカハライモリ(別名ニホンイモリ)」を指す。漢字では「井守・蠑螈」と書き、井戸や水田を守るものといわれ、水の中や水辺に棲んでいる

ヤモリ

ヤモリの図解

有鱗目ヤモリ科の爬虫(はちゅう)類

単にヤモリという場合、日本で最も一般的な種類である「ニホンヤモリ」を指す。漢字では「家守・守宮」と書き、家を守るものといわれ、陸に棲んでいる

見分け方

イモリ
アカハライモリ

アカハライモリ

アカハライモリは「赤腹」とも呼ばれ、その名の通り、腹は赤く、大きさは全長10cm程度。危機が迫るとフグ毒であるテトロドトキシンを分泌させることができるが、「イモリの黒焼き」などで食べることがあり、その場合人間には害がない程度の少量である。

アカハライモリのお腹

アカハライモリのお腹

両生類で皮膚呼吸するため、皮膚全体が粘膜に覆われ、ヌメヌメとしている

ヤモリ
ニホンヤモリ

ニホンヤモリ

ニホンヤモリは全長10cm程度。体はグレーで、体表はトカゲや蛇などと同じようにウロコがあり、乾燥しゴツゴツとしている

家などに住み着き、害虫を食べてくれると言われ縁起がいいとされ、実際に害虫を食べる。

ヤモリ科の足裏

ヤモリ科の足裏

足の裏は吸盤のような構造をしていて、天井や壁などのツルツルした面でも歩くことができる。

生態

イモリ

イモリのシルエット

イモリ科はカエルなどと同じく、オタマジャクシのような幼生から成体へと変態するのが大きな特徴

卵からかえった幼生は水中で生活し幼生から足が生え、陸上に拠点を移す。成熟するとふたたび水中に戻り、産卵の準備に入る。これを基本とし、ほぼ陸上で生きるものから水中で生きるものまで、種によってその生育場所と期間が変わる

体内受精だが交尾はなく、オスが水底などに落とした精包をメスが体内に取り込むような形で受精する。卵は1個ずつ水草などに産み付ける。

再生能力が優れたものが多く、尾を切っても骨まで再生することが知られている。トカゲやヤモリも尾を自切するが、骨までは再生できない

アカハライモリは水田や池など淡水の水辺などに住み、日本の広範囲に生息するため、異なる環境によって特徴などに地域差が出る。アカハライモリは日本の固有種。

ヤモリ

ヤモリのシルエット

主に夜行性で、ヤモリ科の種は森林や砂漠など様々な環境に生息し、ニホンヤモリの場合、民家やその周辺に棲むことが多い。

食性は動物性で、昆虫などを食べ、自分より小型のものを食べる。トカゲと同じように、驚いたり敵に捕まりそうになったりすると尾を自切する。

目は透明の鱗で覆われており、まぶたを閉じることができない種が多い。そのため舌を伸ばし眼球を掃除する動作をする。

繁殖は卵生で、交尾を行い、年に数回産卵する。トカゲは種類によって卵の数はまちまちだが、ヤモリの場合ヤモリ科のほぼすべての種が2個ずつ産卵するという特徴がある。

ニホンヤモリは「ニホン」とついているが、固有種ではなく外来種で、中国などにも分布している。

分類

イモリとヤモリの分類図

イモリ

広義には両生綱有尾目イモリ亜科全般の総称としても呼ばれるが、特にイモリ科のものをイモリと呼ぶ

この科は15属59種ものが含まれ、鮮やかな色を持つ種が多く、皮膚毒を持つものも多い。日本にはアカハライモリ(本土広範囲)と他2種類(主に奄美など)が生息している。

ペットとしても人気があるが、イボイモリなどは研究用などにも用いられる。

ヤモリ

爬虫綱有隣目トカゲ亜目ヤモリ科目ヤモリ科の動物で、「ゲッコー」とも呼ばれる。

トカゲ亜目約5500種のうち約1300種がヤモリ科に含まれるほど、種類が多いのが特徴。

小型で似たような形状の種が多いが、体表の色や模様などは異なり、鮮やかな色をしたものもいる。日本にはニホンヤモリと数10種類の種が生息する。

ペットとしても人気がある。

ヒョウモントカゲモドキ

ペット人気の高いヒョウモントカゲモドキ

その他に、足の吸盤のような構造は、接着剤の技術に応用されている。

民話

イモリとヤモリの混同

中国から伝わる風習で「守宮の印(しるし)」がある。

ヤモリに朱を食べさせその血を女性に塗っておくと、男性と交わったときにその印が消えると信じられ、浮気防止に使われていたというもので、それが日本に宮中に伝わり、後宮の女性たちを守るという意味で「守宮」と書かれた。

これはヤモリと読むが、イモリとも読まれ混同された。和歌として、「井守の印」と「井守を搗(つ)く」という言葉でイモリの方でも残っている。

イモリとヤモリは生息場所で形が変わる同じ種のものだと考えられていた時代もあり、イモリがトカゲの仲間とされていた。

イモリの多淫イメージ

古くから、竹筒に節をへだててオスとメスを入れても節を食い破って一緒になるとか、丘をへだてそれぞれ焼いてもその煙は一緒になるとか、つがいの絆が深いと信じられていた。

多淫で多く交尾すると信じられてきたが、実際には交尾はせず、オスの求愛ダンスが特徴的なことからこのイメージが付いたともいわれる。

イモリの黒焼き

「井守の印」の風習や、多淫のイメージからか、江戸時代以降「イモリの黒焼き」が惚れ薬になると信じられた。

意中の相手に粉にして振りかけたり、粉を飲ませたり、「いもり酒」という酒に溶かしたものもあったという。

小さい土器で焼いたものが売られ、現在でも漢方薬で滋養強壮の薬として存在している。