「在宅勤務」と「在宅ワーク」と「内職」の違いって?

POINT
在宅勤務会社員が自宅で業務を行うこと。労働環境は労働法によって守られている。
在宅ワーク個人事業主が自宅で仕事を行うこと。労働環境を守る法律は、今のところない
内職主婦などが自宅で単純作業を行うこと。労働環境は家内労働法によって守られている。

仕事で使う道具

概要

在宅勤務とは

キーボードを打つ様子

在宅勤務とは、会社の業務を自宅で行うことをいう。テレワーク(※1)の一種である。

1 テレ(tele)とは「離れた所」という意味で、時間や場所に縛られない働き方。リモートワークとも呼ばれる。テレワークは業務を行う場所によって、大きく下記の3種類に分けることができる。

テレワークの種類
  1. 在宅勤務:自宅
  2. モバイルワーク:電車・カフェ・ホテルのラウンジなど
  3. サードプレイスオフィス勤務:コワーキングスペース・サテライトオフィス・レンタルオフィスなど

在宅ワークとは

自宅で仕事をする人

在宅ワークとは、自宅にいながら仕事をすることをいう。特に企業などには属さず、在宅ワークを行う人のことを「在宅ワーカー」と呼ぶ。報酬は在宅ワーカーが成果物を納品し、請求書を発行することによって支払われる。

在宅ワークの例
  • システム設計
  • Webデザイン
  • 会計事務
  • Webライティング
  • データ入力 など

内職とは

内職をする人

内職には大きく、3つの意味がある。

  1. 副業
  2. 主婦が家計を助けるために自宅で行う仕事
  3. 授業中などにこっそり他の作業を行うこと

なお今回は「在宅勤務」「在宅ワーク」との比較のため、2.主婦が家計を助けるために自宅で行う仕事の意味で「内職」という言葉を使用する

仕事の依頼主から原材料を受け取り、それを加工したり組み立てたりする単純作業が主である。作業の工賃は、依頼主に完成品を送ることによって支払われる。なお、工賃はこなした数×単価によって計算されるのが一般的。

内職の例
  • 箱の組み立て
  • 値札つけ
  • シール貼り
  • 袋詰め
  • 縫物 など

在宅勤務と在宅ワークと内職の違い

三者はいずれも、自宅で仕事をするという点では同じである。だが下記の点においては、違いがみられる。

立場

仕事机の上

まず三者は、法律上の立場が異なる。

  • 在宅勤務:会社員
  • 在宅ワーク:個人事業主
  • 内職:家内労働者

まず、在宅勤務を行う者は、企業などに属している会社員である。会社から給与を受け取ることができ、社会保険・厚生年金に加入できる。

また在宅ワークを行う者(=在宅ワーカー)の多くは、企業に属さない個人事業主である。在宅ワーカーは依頼主から、報酬を受け取る。営業から請求書の発行、納税(※2)まですべてをこなす必要がある。また被雇用者ではないため、社会保険や厚生年金はない。

2 納税義務が発生した場合

さらに内職を行う者は法律上、家内労働者という立場に該当する。在宅ワーカーと同様、社会保険や厚生年金はない。

法律

積み重ねられた本

また三者は、労働環境を守る法律についても違いがある。

  • 在宅勤務:労働法
  • 在宅ワーク:現状なし
  • 内職:家内労働法

在宅勤務をする者は、労働法(※3)によって労働環境が守られている。また内職をする者(=家内労働者)は家内労働法(※4)によって守られている。

他方で在宅ワークをする者の労働環境を守る法律は、今のところ存在しない(※5)(2018年9月現在)。そのため最低賃金などは保証されていない。

3 労働基準法・男女雇用機会均等法・最低賃金法などの総称

4 最低賃金の保障や安全・衛生面などが規定されている。

5 「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」や「下請代金支払い遅延等防止法(下請法)」などはあるが、労働環境自体を守る法律はない。

専門性・収入の多寡

豚の貯金箱と計算機

また在宅ワークと内職については、専門性の高さや収入の多寡について、違いがみられる。なお、在宅勤務におけるそれらの条件は各企業によって違うため、今回は言及しない。

  • 在宅ワーク:簡単な作業・専門性の高い仕事の両方/高収入の可能性あり
  • 内職:簡単な作業/低収入

在宅ワークは上記(在宅ワークの例)でも触れた通り、専門性が高い仕事も存在する。そのため報酬の水準は、内職よりも高く(※6)なっている。

6 個人のスキルによる。場合によっては、内職よりも時給が低いこともある。

平均報酬額(厚生労働省調査【平成24~26年】)

在宅ワークの仕事による平均的な月収の円グラフ

(出典:厚生労働省「在宅ワークの実態 報酬」)

他方で内職は上記(内職の例)でも触れた通り、簡単な作業が多く、専門性が高い仕事とはいえない。そのため工賃の水準も低く(※7)なっている。

7 平均工賃額

  • 428円/1時間
  • 4万6,890円/1カ月

出典:厚生労働省「家内労働者の労働条件の現状(平成26年10月調査)

まとめ

 在宅勤務在宅ワーク内職
共通点自宅で仕事を行うこと
立場会社員個人事業主家内労働者
法律労働法現状なし家内労働法
専門性所属する企業などによる高い仕事もある低い
収入比較的高い低い