「国際連盟」と「国際連合」の違いって?
国際連盟 | 第一次世界大戦後に成立した、史上初の国際平和機構のこと。提唱国であるアメリカは不参加、加盟国も次々と脱退していったため弱体化した。「国際連合」創設のため、解散した。 |
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国際連合 | 第二次世界大戦後に成立した、国際平和機構のこと。「国際連盟」の精神を引き継ぎ、強化した組織である。2020年時点では、世界のほぼすべての国が加盟している。 |
記事の目次
成立した時代
第一次世界大戦後に成立した「国際連盟」
国際連盟(英:League of Nations)は、第一次世界大戦をきっかけとして、アメリカ大統領のウィルソンによって提唱された。1920年1月に成立した史上初の国際平和機構である。世界の平和維持と国際協力を目的とし、本部はスイスのジュネーヴに置かれた。1946年4月には「国際連合」の創設に伴い、総会で解散が決議された。
なお、1920~26年、新渡戸稲造が国際連盟の事務局長を務めている。
第二次世界大戦後に成立した「国際連合」
これに対して国際連合(英:United Nations)は、第二次世界大戦後、1945年10月に発足した国際機構である。国際連盟の精神を受け継ぎ、強化して組織された。本部はアメリカのニューヨークに置かれている。世界平和や安全の維持・諸国間の友好関係の発展・国際問題の解決および人権の尊重などを目的としている
もともと「国際連合」という言葉は、第二次大戦の枢軸国(ドイツ・イタリア・日本)に対抗して連合した国々のことを表していた。日本は1956年に加盟することが認められた。
加盟国について
アメリカ不参加の「国際連盟」
国際連盟の原加盟国はベルサイユ条約に署名した29カ国と、中立国であった13カ国の42カ国であった。しかし、提唱者・ウィルソン大統領のアメリカは、上院が加盟を否決したため、不参加となった。
また満州事変を契機に、1933年には日本も脱退した。さらに同年にはドイツが、37年にはイタリアも脱退するに至った。1934年にはソ連が加盟するも、フィンランドとの戦争によって39年に除名された。
これらの国々の脱退により、国際連合は次第に弱体化していった。そして1939年には第二次世界大戦が勃発し、活動を停止することになる。
ほぼすべての国が加盟する「国際連合」
これに対して「国際連合」の原加盟国は51カ国で、アメリカも加盟している。そして現在(2020年時点)の加盟国は193カ国にも上る。日本が承認している国が196カ国であるから、世界のほとんどの国が加盟しているといえる。なお、北朝鮮も国際連合に加盟している。
拒否権の有無
全会一致が原則の「国際連盟」
国際連盟は総会・理事会・事務局を主要機関としていた。そして総会と理事会の議決には、全会一致の原則が適用されていた。
多数決・5カ国に拒否権がある「国際連合」
これに対して国際連合の主要機関は、総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・国際司法裁判所・事務局である。そして、議決の方法は多数決が原則となっている。
だが、常任理事国の5カ国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)は拒否権を持ち、安全保障理事会において強い権限を与えられている。すなわち、1カ国でも拒否権を発動すれば、その決議は否決される。
武力制裁は可能か
国際連盟においては、経済制裁しかできず、武力制裁は認められていなかった。
しかし国際連合においては、経済制裁だけでなく武力制裁も認められている。だが、平和的手段を尽しても改善されない場合に限って武力制裁が承認されるのであって、いきなり武力行使に出ることはない。
まとめ
国際連盟 | 国際連合 | |
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成立した時代 | 第一次世界大戦後、1920年1月に成立 →国際連合の創設により解散 | 第二次世界大戦後の1945年10月に発足 |
本部 | スイスのジュネーヴ | アメリカのニューヨーク |
加盟国 |
| 193カ国が加盟(2020年時点) |
議決の方法 | 全会一致が原則 | 多数決が原則 ※常任理事国には拒否権あり |
認められている制裁 | 経済制裁 | 経済制裁・武力行使 |