「領海」と「接続水域」と「排他的経済水域」の違いって?

POINT
領海沿岸から約22kmの水域のこと。他の国の介入を受けない。
接続水域沿岸から約44kmの水域のこと。犯罪などを取り締まることができる。
排他的経済水域
(EEZ)
沿岸から約370kmの水域のこと。資源の開発などを行うことができる。

海

「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の違い

「領海」「接続水域」「排他的経済水域(exclusive economic zone/略称:EEZ)」はいずれも、国連海洋法条約(海洋の利用に関する条約/1982年採択)において、その利用が明文化された“水域”であるという点では同じである。しかし三者には、下記のような違いがある。

なお、上記の三者のいずれにも該当しない水域を「公海」という。これは各国の主権(他国の介入を受けず、独自に意思決定を行うことができる権利)が及ばない水域であり、原則として自由に使用・航行することができる。

沿岸からの距離

  • 領海:12海里(約22km)
  • 接続水域:24海里(約44km)
  • 排他的経済水域:200海里(約370km)

海里=航海・航空用の距離の単位。1海里=1,852mである(ただし一部の国では異なる場合あり)

領海・接続水域・排他的経済水域の解説図

出典:海上保安庁「領海等に関する用語

まず領海とは、基線(きせん)から12海里(約22km)までの水域を指す。基線とは、「領海」「接続水域」「排他的経済水域」そして「大陸棚」などの範囲を測定するための、基準となる線のことである。通常は、海岸の低潮線(低潮時の海岸線のこと)が採用されている。

また接続水域とは、基線から24海里(約44km)まで、正確には領海の外側12海里の水域のことを指す。さらに排他的経済水域とは、基線から200海里(約370km)までの水域を指す。

つまり、海岸線からの距離は下記の順に近い。

  • 領海 < 接続水域 < 排他的経済水域(EEZ)

認められる権利

領海

領海には「領土」や「領空(領土と領海の上空)」と同様、沿岸国(水域が属する国)の主権が認められている。この水域内においては、他国が介入することはできない。

他方で、他国の船舶が沿岸国に対して、害を与えない範囲で通過する権利(無害通行権)も認められている。

接続水域

接続水域には沿岸国の主権こそ及ばないが、関税・衛生などのための管轄権を行使することが認められている。例えば、この水域内において不法入国が疑われる船を発見した場合には、立ち入って捜査を行うことができる。

排他的経済水域(EEZ)

排他的経済水域(EEZ)には、沿岸国の水産資源・海底鉱物資源などに対する支配権が認められている。例えば、水域内にあると思われる原油の探査・開発などを行うこともできる。

そのため、排他的経済水域を巡り、国家間の対立が生じるといったケースもみられる。

まとめ

 領海接続水域排他的経済水域
(EEZ)
基線からの距離12海里(約22km)24海里(約44km)→領海の外側12海里200海里(約370km)
認められる権利主権関税・衛生などのための管轄権漁業・海底鉱物資源に関しての支配権