「タコ墨」と「イカ墨」の違いって?
タコ墨 | 粘り気が弱く、うまみ成分が多く含まれている。取り出しにくく、1匹からとれる量が少ないので値段が高い。 |
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イカ墨 | 粘り気が強く、タコ墨と比べるとうまみ成分は少ない。取り出しやすく、1匹(杯)からとれる量も多いので値段が安い。 |
記事の目次
タコ墨とイカ墨の違い
タコとイカは敵から逃れる際、ともに漏斗(ろうと)から墨を吐く。一般的に、イカ墨を使った料理はよく目にするが(イカスミパスタなど)、タコ墨を使った料理を目にすることはない。理由は、タコ墨とイカ墨の性質の違いにある。
粘度
タコ墨は粘性(=粘り気)が低いが、イカ墨は粘性が高い。粘性の低いタコ墨は水に溶けやすいため、吐くと水中に煙幕のように広がる。タコは煙幕に身を隠し、敵から逃れるのである。
一方で、粘性の高いイカ墨は水に溶けにくいため、吐いても煙幕のようには広がらない。イカ墨は塊(かたまり)となって水中を漂い、いわば分身のようになる。イカは敵の眼を分身に引き付けている隙に逃れるのである。
出典:ののちゃんのDO科学「タコやイカの墨って何?」
うまみ成分
タコ墨とイカ墨に含まれる栄養素(タンパク質・色素・多糖類・脂質など)はほぼ同じだが、うまみ成分といわれるアスパラギン酸・グルタミン酸の量に違いがある。両者を比較する(下記)と、タコ墨にはイカ墨よりも多くのうまみ成分が含まれることがわかる。
マダコ | スルメイカ | |
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アスパラギン酸 | 26.0mg | 8.7mg |
グルタミン酸 | 71.8mg | 24.4mg |
取り出す手間・墨の量
タコの墨袋(墨汁嚢)は内臓に埋もれているため、取り出しにくい。さらにタコ墨は粘性が低く流れ出しやすいので、扱いにくい。またタコ1匹が持つ墨の量は、イカよりも格段に少ない。(※イカ1匹(杯)が持つ墨の量は、タコ1匹に比べて10倍とされる(ただし種類によって異なる))
一方で、イカの墨袋はワタと一緒に取れるので取り出しやすい。さらにイカ墨は粘性の高いので流れ出しにくく、扱いやすい。またイカ1杯(匹)が持つ墨の量は、タコよりも多い。
値段
タコ墨とイカ墨は扱いやすさ・入手できる量の違いから、タコ墨の方が値段が高くなることが予想される。もしタコ墨パスタを食べるとなると(実際に提供する店もある)、数千円から1万円近くにもなるという。
まとめ
タコ墨 | イカ墨 | |
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墨の粘度 | 低い | 高い |
うまみ成分 | 多い | 少ない |
扱いやすさ | 扱いにくい | 扱いやすい |
1匹(杯)からとれる量 | 少ない | 多い |
値段 | 高い | 安い |