「紹興酒」と「老酒(ラオチュウ)」の違いって?
紹興酒 | 中国・浙江省紹興地方などを産地とする中国酒のこと。 |
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老酒 (ラオチュウ) | 長い間熟成させた中国酒のこと。 |
記事の目次
概要
中国酒の区分
まずは、中国酒の分類について簡単に説明する。さまざまな分け方があるが、下記の2つに大別できる。
- 黄酒(ホワンチュー):穀類を原料とする醸造酒
- 白酒(パイチュー):穀類を原料とする蒸留酒
紹興酒とは?
紹興酒(しょうこうしゅ)とは、浙江省紹興地方などを産地とする醸造酒である。上記区分で言うと、黄酒の一種となる。蒸したもち米・麦麹などを原料とし、発酵・ろ過してつくる。仕込みには、紹興の鑑湖(かんこ)という湖の水を用いる。
色は黄褐色もしくは茶褐色で、酸味・苦味があるのが特徴。世界三大美酒とも呼ばれている。中国酒としては、最も有名な醸造酒である。
老酒(ラオチュウ)とは?
老酒(ラオチュウ)とは本来(※)、長期間熟成させた黄酒のことである。例えば上海でつくられた「上海老酒」、福建でつくられた「福建老酒」、紹興酒を長期間熟成した「紹興老酒」などがある。
他にも、(1)色の濃い黄酒(2)中国本土以外でつくられた黄酒 といった意味でも使われることがある。
中国酒のラベルには、花彫や陳年といった言葉が書かれていることがある。花彫と陳年はいずれも「古い」という意味だが、花彫は中国本土、陳年は台湾でつくられた酒に対して使われるという違いがある。
紹興酒と老酒の違い
中華料理店などで老酒を頼むと、紹興酒を提供されることが多い。しかし本来、両者は別物である。
製造場所
まず紹興酒と老酒は、製造場所が異なっている。紹興酒は、浙江省紹興地方などの特定の地域でつくられた酒のみを指す。中国の法律上、たとえ同じ製法でつくったとしても、それ以外の地域でつくられたものは「紹興酒」と名乗ることができない(2000年に法律で規定)。
一方老酒は、製造場所は問わない。上海や福建でつくられても、古い酒ならば老酒である。
熟成期間
また紹興酒と老酒は、熟成期間についても異なる。紹興酒は、長期間熟成させたかどうかは関係ない。輸出されるものは3年以上熟成させたり、5~10年間熟成させたものは“最上”との評価を受けたりするが、すべての紹興酒が長期熟成させたものではない。
一方で老酒は、長期間熟成させた酒のみを指す。一般的に3年以上熟成させたものが老酒と呼ばれる。
「老酒=紹興酒」という認識
紹興酒は製造場所に着目した分類、一方老酒は熟成期間に着目した分類ということがお分かりいただけたと思う。
しかし日本国内では、「老酒=紹興酒」という認識もある。これは老酒の中でも、紹興酒が美味で最も有名であったことから、次第に両者が混同されるようになったと考えることができる。