「岩石」と「鉱物」と「鉱石」の違いって?
POINT
岩石 | 地殻を構成している物質のこと。鉱物の集合体。 |
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鉱物 | 岩石を構成している物質のこと。 |
鉱石 | 人間の暮らしに役立つ岩石や鉱物のこと。 |
記事の目次
概要
岩石とは?
岩石とは、地殻(=地球の表面)やマントル(=地殻と核の間にある層)の上部を構成している物質の総称のことである。多くの岩石は複数の鉱物からできており、生み出された原因によっって、大きく下記の3つに分けることができる。
- 火成岩:マグマが冷えることなどによってできた岩石のこと(砂岩、泥岩、石灰岩など)
- 堆積岩:岩石片や生物の遺骸などが堆積(=積み重なる)してできた岩石のこと(安山岩、玄武岩、花崗岩など)
- 変成岩:火成岩・堆積岩が強い熱や圧力によって変化した岩石のこと(片岩、緑色岩など)
鉱物とは?
鉱物とは自然に生成された物質で、一定の化学的(※1)・物理的性質(※2)をもつ固体のことである(ただし例外あり)。
1 どの部分をとっても同じ成分でできている、という意味
2 どの部分をとっても原子が同じ構成をしている、という意味
- 鉱物の例
- ダイヤモンド:天然の中で最も硬い物質で、宝石として扱われているのが有名。
- 石英:陶器やガラスなどの材料に使われる鉱物で、石英の中でも無色透明の物を水晶と呼んでいる。
- 方解石:鍾乳石や大理石をを構成する鉱物である。大理石は彫刻や建築材などにも用いられている。
落ちている石を拾ってよく見てみると、石は小さな粒からできていることがわかる。この一つ一つの小さな粒が鉱物である。
石墨(せきぼく)とダイヤモンド
2つは同じ炭素からできている。しかし原子の構造が下記のように異なるため、違う鉱物として区別されている。
出典:日本地質学会「地質全般Q&A」
鉱石とは?
鉱石とは一言で言うと、人間にとって価値のある鉱物もしくはその集合体のことである。例えば、鉄鉱石(=鉄の原料)やダイヤモンド鉱石などがこれに当たる。
あくまでも「価値」は人間が決めるものである。そのため、その時点における経済的・技術的な条件によって、鉱石に該当するかどうかの判断は分かれる。
鉱業法では下記の鉱物が鉱石として定められている。
- 鉱石一覧
- 金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、そう鉛鉱、すず鉱、アンチモニー鉱、亜鉛鉱、鉄鉱、硫化鉄鉱、クローム鉄鉱、マンガン鉱、タングステン鉱、モリブデン鉱、ひ鉱、ニツケル鉱、コバルト鉱、ウラン鉱、トリウム鉱、りん鉱、黒鉛、石炭、亜炭、石油、アスフアルト、可燃性天然ガス、硫黄、石こう 、重晶石、明ばん石、ほたる石、石綿、石灰石、ドロマイト、けい石、長石、ろう石、滑石、耐火粘土及び砂鉱
参考:鉱業法 第一章 第三条
岩石と鉱物と鉱石の違い
岩石と鉱物の関係
鉱物の集合体を岩石という。先ほど説明した「落ちている石」も岩石である。通常、岩石はいくつかの鉱物からできているが、一種類の鉱物から成る岩石(※3)もある。
3 大理石は方解石のみで構成されている岩石である。
岩石・鉱物と鉱石の関係
さらに鉱石とは鉱物もしくは鉱物の集合体のうち、人間の生活に役に立つものを指す言葉である。つまり3つの関係を簡単にまとめると下記のようになる。
- 鉱物A(人間にとって価値がない) → 鉱石ではない
- 鉱物B(人間にとって価値がある) → 鉱石
- 岩石C(人間にとって価値がない鉱物の集合体) → 鉱石ではない
- 岩石D(人間にとって価値がある鉱物を含む集合体) → 鉱石