【温度】「摂氏(℃)」と「華氏(°F)」の違いは?

POINT
摂氏水が凍る温度と沸騰する温度を100等分した目盛りのこと。記号はと書く。
華氏水が凍る温度と沸騰する温度を180等分した目盛りのこと。記号は°Fと書く。

摂氏と華氏の温度計

ことばの意味

摂氏と華氏の解説図

摂氏の意味

セルシウスが考案した温度の単位で、いくつもある温度単位の中で日本を含め大多数の国がこの単位を使う。

水が凍る温度である「凝固点」と水が沸騰する温度である「沸点」の二つの間を100等分した目盛りのこと。温度は気圧によって変化するため、1気圧を基準とする。華氏を基準に作られたもの。

日本の計量法では「ケルビンで表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」と定義されている。

摂氏から華氏へ変換

9/5 × (摂氏) + 32 = 華氏

華氏の意味

ファーレンハイトが考案した温度の単位で、いくつもある温度単位の中では英語圏に多く使われるもの。「凝固点」と「沸点」の間の間を180等分した目盛りのこと。

摂氏が「凝固点を0度」「沸点を100度」とするのに対し、華氏では「氷点を32度」「沸点を212度」とする。

日本の計量法では「ケルビンで表した熱力学温度の値の1.8倍から459.67を減じたもの」と定義されている。

華氏から摂氏へ変換

5/9 × (華氏-32) = 摂氏

ケルビン・摂氏・華氏の度数比較表


ケルビン・摂氏・華氏の度数比較表

様々な名称

 摂氏華氏
他の呼ばれ方
  • 摂氏度
  • 摂氏温度
  • 摂氏温度目盛
  • セルシウス度
  • セルシウス温度
  • セルシウス温度目盛
  • セ氏、セ氏度、セ氏温度
  • 華氏度
  • 華氏温度
  • 華氏温度目盛
  • ファーレンハイト度
  • ファーレンハイト温度
  • ファーレンハイト温度目盛
  • カ氏、カ氏度、カ氏温度
記号°F
記号の読み
(30度の場合)
  • 30ど
  • せっし30ど
  • 30どシー
  • 30セルシウスど
  • かし30ど
  • 30どエフ
  • 30ファーレンハイトど
考案者アンデルス・セルシウス(1742年考案)ガブリエル・ファーレンハイト(1724年考案)

上の表のように、どちらもさまざまな呼び方がある。厳密にはすべて全く同じ定義ではないが、ほぼ同じような使われ方をする。「摂氏・華氏」と漢字で表記される場合、総称した使い方が多く、学術的に使う場合は「セルシウス度」と「カ氏度」が多く使われる。

漢字で「摂氏」と書くのは、考案者であるセルシウスを中国語では「摂爾修斯」と書き、頭文字と人の名前につける「氏」を足して「摂氏」と呼んだことから日本においても使われるようになったと言われる。同じように、「華氏」もファーレンハイトを「華倫海特」と書いたことから使われるようになった。

使われる国

摂氏が使われる国

メートル条約加盟国を中心に大多数の国が採用する。メートル条約とは、さまざまな単位を国際的に統一することを目的とした条約で、加盟国はメートル法を基にした国際単位系に決められた単位を使う。

国際単位系(SI)の中で温度は、ケルビン(K)がSI基本単位とされ、摂氏(℃)は固有の名称を持つSI組立単位と定められている。

日本は1885年に加盟しており、摂氏が最も一般的に使われる単位。

華氏が使われる国

ヤードポンド法を使用する英語圏の国に使用される。

国際単位系が主流なため、世界的には摂氏が使われることが多いが、華氏は摂氏より分割が詳細で、地球上の居住できる気温の温度変化が「0°Fから100°F」の範囲に収まり、整数で表現しやすいということから、生活に根ざした単位として現在でも使用されている。

ヤードポンド法はヤードとポンドを中心として使う単位系で、主にアメリカにおいて使われる。しかし、アメリカもメートル条約に加盟し、本来ならケルビンや摂氏が使われるところだが、ヤードポンド法も禁止されなかったため、日常生活にはヤードポンド法の方がより多く使われる。そのため、アメリカにおいて温度を表現する場合、現在でも華氏の方が一般的に使われている。

メートル条約では、SI単位に認められてはいないが、アメリカなどで使われることは認められている。

歴史

《主な温度単位の歴史年表》
1714年ファーレンハイトが水銀温度計を発明
1724年ファーレンハイトが華氏温度目盛を提唱(°F)
1730年レオミュールが列氏温度目盛を提唱(°R)
1742年セルシウスが摂氏温度目盛を提唱(℃)
1848年ケルビン卿が熱力学温度であるケルビンを提唱(K)
1954年第10回国際度量衡総会でSI基本単位にケルビンが採択される
摂氏の歴史

1742年にスウェーデンの天文学者で物理学者のアンデルス・セルシウスが華氏を基に考案した。

当初、現在のものとは逆に水の凝固点を100度、沸点を0度としていた。しかし、セルシウスの死後、1744年に水の凝固点を0度、沸点を100度と改められた。

華氏の歴史

1714年にドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトは、それまで使われていた液体をアルコールから水銀に変えた温度計を製作した。さらに1724年に華氏温度目盛りを提唱した。

当初「氷水と塩化アンモニウムの混合物が溶ける温度」を0度とし、「人間の血液の温度」を96度とした。しかし、この目盛りで水の凝固点が32.2度で沸点が206.5度だったため、この差を約数の多い180度とするため、血液の温度を基準点から除外し、水の凝固点を32度、沸点を212に定めた。