「ピアノ」と「オルガン」の違いって?
ピアノ | ハンマーで弦を叩くことによって音が出る鍵盤楽器のこと。音の持続時間には限界があるが、強弱をつけることができる。18世紀初頭のイタリアで誕生した。 |
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オルガン | パイプに風を送ることによって音が出る鍵盤楽器のこと。音に強弱をつけることはできないが、音の持続時間に限界はない。紀元前3世紀頃、アレクサンドリア(現在のエジプトの都市)で誕生した。 |
記事の目次
ピアノとオルガンの違い
ピアノとオルガンは、いずれも鍵盤楽器である点では同じである。しかし下記の点において、両者には違いがみられる。
音を出す仕組み
まず両者は、音を出す仕組みが違う。
- ピアノ:ハンマーで弦を叩く(打弦楽器)
- オルガン:パイプに風を送る(管楽器)
ピアノ
ピアノが音を出す仕組みは、下記のようになっている。
- 鍵盤を押すと、連動しているハンマーが弦を打つ。
- 弦の振動が駒を通して、響板に伝わる。
- 響板が空気を振動させることによって大きな音が出る。
出典:ヤマハ株式会社「ピアノのしくみ:音が出るしくみ」
このように、ピアノとは弦を打って音を出す「打弦楽器」であるといえる。
オルガン
一方でオルガンが音を出す仕組みは、下記のようになっている。
- 鍵盤を押すと、パイプに風が送られる。
- パイプ内の空気柱が振動することによって音が出る。
出典:ヤマハ株式会社「パイプオルガンのしくみ:パイプに風を通して音を出す楽器」
空気がパイプを伝って音を鳴らすというのは、リコーダーをイメージするとわかりやすい。つまり、オルガンとは「管楽器」である。
リードオルガンは19世紀に発明された、空気が流れることで音が鳴る楽器である。オルガンとは本来パイプオルガンのことを指す。しかし、学校でよく使われていたことから、日本ではリードオルガンをイメージする人が多い。
音の持続時間と強弱
このような仕組みの違いから、両者は音の持続時間と強弱についても違いがみられる。
- ピアノ:音が持続しない/強弱をつけられる
- オルガン:音が持続する/強弱をつけられない
まずピアノはハンマーで弦を叩くため、打楽器のように強弱をつけることができる。その反面、叩いた瞬間に一番大きな音が出るのであって、それ以降は徐々に音が消えていくという特徴がある。
一方でオルガンはパイプに風を送るため、鍵盤をどのように押そうとも、出る音の大きさは変わらない。すなわち、音に強弱をつけることができない。その反面、鍵盤を押したときの音は、鍵盤から指を離すまで持続するという特徴がある。
歴史
また両者は、歴史の長さにも違いがみられる。
- ピアノ:18世紀初頭にイタリアで発明
- オルガン:紀元前3世紀頃にアレクサンドリアで発明
現在のピアノの原型は18世紀初頭、イタリア人・B.クリストフォリ(1655-1732)によって考案された。ピアノが発明される前はクラヴィコードやチェンバロという鍵盤楽器が普及していたが、これら楽器の音量や強弱に不満を持ったクリストフォリが、「ハンマーで弦を叩く」という現代のピアノでも使用されている仕組みを作ったと言われている。当初の名は「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」といい、短縮されてピアノフォルテやピアノと呼ばれるようになった。
一方でオルガンの歴史は非常に古く、紀元前3世紀頃のアレクサンドリア(現在のエジプトの都市)で発明されたといわれている。その後改良を重ね、今日のような形になった。なお、オルガンの語源は、ギリシア語で道具を意味するorganonである。
まとめ
ピアノ | オルガン | |
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音を出す仕組み | ハンマーで弦を叩き、響板が空気を振動させる(打弦楽器) | パイプに風を送り、空気柱を振動させる(管楽器) |
音の持続時間 | 短い | 鍵盤から指を離すまで続く |
音の強弱 | つけられる | つけられない |
発明された時代・場所 | 18世紀初頭のイタリア | ヘレニズム時代のアレクサンドリア |