「興行収入」と「配給収入」の違いって?
- どちらも映画などの興行(入場料をとって見物させるビジネス)に関連する収入形態のこと。
興行収入 (興収) | 観覧のために入場者が劇場に支払った作品ごとの金額の総額のこと(入場料×有料来場者数)。 映画の成績の指標としても用いられる。映画以外の色々な場面でも使われる。 |
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配給収入 (配収) | 映画の上映権を販売する配給会社が、映画館から徴収する金額(興行収入×○%(興行収入から映画館の取り分を差し引いた金額))のこと。 作品ごとに興行収入の何%を徴収するか決まっている。主に映画業界で使われる。 |
言葉の意味
興行収入
「興行」とは映画や演芸・スポーツなど入場料をとって客に見物させることである。興行収入は「興行における収入」のことを意味し、その入場料の総額を指す。(省略して「興収」とも呼ぶ)
そのため、興行と呼ばれる催し物において全般で使われる言葉である。
- 興行収入の求め方
- 「入場料×有料入場者数」
特に映画業界でよく使われ、欧米では「box office」といい、作品ごとにその上映成績をはかる指標として興行成績発表などに使われる。「興行成績○億円突破」などの宣伝文句にもよく用いられる。
配給収入
「配給」とは、映画製作会社が製作した作品を各映画館運営会社に上映権を販売することである。配給収入は「配給における収入」を指し、ほとんど映画産業でのみ使われる。(省略して「配収」とも呼ぶ)
- 配給収入の求め方
- 「興行収入×(取り決められた取り分)%」
映画産業の過程は「開発」「制作」「配給」「興行」に分かれ、その「配給」を執り行う「配給会社」の取り分が配給収入といわれる。
興行収入のうち映画館と取り決めたパーセンテージの金額が配給会社の収入となる。
映画における収入の構造
映画を作る工程として、「開発」で企画を練りながら出資者を募り、「製作」では映画製作会社が実際の作品制作にあたる。
完成した作品(海外作品の場合買い付け作品)を配給会社が映画館へ「配給」する。映画館で作品を上映し、入場者から入場料を徴収する。
入場料の総額が映画全体の収入である「興行収入」と呼ばれ、映画館は配給会社との契約で決められた取り分の額である「配給収入」を配給会社に支払う。
取り分は作品ごとに異なり40~70%で、平均すると50%程度と言われている。映画館は残った金額を映画館の運営費などにあてる。
映画成績の指標としての違い
欧米では毎週末に興行収入のランキングが発表され、すべての作品ごとに興行収入が公表される。特に公開直後の興行収入はヒットの目安とされている。
日本において1999年までは映画の成績発表として配給収入が使われたが、2000年からは欧米に合わせて興行収入が使われている。
配給収入では作品ごとのパーセンテージが違い比較として明確でないことと、興行収入と配給収入を混同してしまうケースも多かったため、興行収入を基準とするようになったといわれている。
日本においては年に1回、映画製作配給会社の大手四社によって運営される団体「日本映画製作者連盟」から興行収入10億円以上の作品のみが発表される。週ごとなどの細かいランキングは、売上や動員数を調査することを専門とする会社から発信されている。