「大蔵省」と「財務省」の違いって?

POINT
大蔵省財政や金融を担当していた、明治にできた省。現財務省の前身にあたる。
財務省主に財政を担当している、平成にできた省。大蔵省から金融部門を切り離して誕生した。

財務省の札

大蔵省と財務省の違い

大蔵(おおくら)省と財務省は、どちらも日本の国家財政を担当する役所である。両者は存在していた時代と役割において、違いがみられる。

大蔵省から誕生した財務省

明治以降、存在していたのが大蔵省である。財務省は平成になり、大蔵省から誕生した。

大蔵省は明治維新にともない、明治2年(1869)に発足した。「大蔵」とは国の倉庫という意味で、奈良時代から役所の名前に使用されてきた歴史がある。

他方で、財務省は平成13年(2001)の省庁再編にともない、大蔵省の一部の役割を引き継ぐ形で発足した(下記で詳しく)。つまり、財務省の前身が大蔵省である。

金融行政を担当するか

大蔵省と財務省の役割の違いを理解するためには、財政と金融の違いについて把握しておくことが大切である。

財政とは国や地方公共団体などが、必要な資金を徴収・支出する経済活動をいう。

他方で金融とは、企業・家計・政府などの間で、必要な資金を貸し借り・融通することをいう。

大蔵省の業務の例
旧大蔵省の業務
【財務の役割】→ 財務省へ【金融の役割】→ 金融庁へ
  • 国家予算の編成
  • 税金(内国税・関税など)の徴収
  • 国債の発行・償還
  • 貨幣・紙幣の発行 など
  • 金融制度の企画・立案
  • 金融機関(銀行など)の監督
  • 証券取引所の監督
  • 公認会計士・監査法人の監督など

大蔵省は財政と金融を担当していたが、財務省は金融を担当していない(財政を担当)という違いがある。かつては極めて大きな権限を持つことで知られていた大蔵省だが、1990年代の金融危機の際には十分な対応ができなかった。

そこで、大蔵省からの金融の役割を切り離す方針が示された。1998年6月には金融監督庁が発足し、2000年には大蔵省の金融企画局を統合して金融庁(現内閣府の外局)となった。こうして、旧大蔵省が担当していた金融行政義務は、金融庁が引き継ぐことになる。

一方、財政の役割は大蔵省に残ったものの、省庁再編によって財務省へと名称が変更された。変更後の名称からは、財政と金融の役割が切り離され、財政のみを担当していることがよくわかる。

旧大蔵省の役割(財政・金融)は、現在の財務省(財政)と金融庁(金融)が担っている。

大蔵省と財務省の関係図