「狛犬」と「シーサー」の違いって?

POINT
狛犬
(こまいぬ)
神社・寺などに置かれている獣の像。魔除けの意味がある。灰色でサイズは大きめ6世紀に、朝鮮半島から日本へと伝わった。
シーサー沖縄の民家などに置かれている獣の像。魔除け・幸福を招く意味がある。赤茶色でサイズは小さめ。13~15世紀に、中国から沖縄へと伝わった。

シーサー

概要

狛犬とは

狛犬とは、獅子や犬に似た獣の像である。神社や寺の参道・社殿の前などに、左右一対で置かれていることが多い。

左にある狛犬 右にある狛犬
左側の特徴
角がある(ない場合もある)・口を閉じている・犬を表す
右側の特徴
角がない・口を開けている・獅子を表す

古代エジプト・メソポタミア文明を起源とし、シルクロードを経由して日本に伝わったとされる。かつての宮中(天皇のお住まい)では、几帳(きちょう/間仕切り)や屏風(びょうぶ)の裾を押さえる重しとして使用されていた。

異国の犬という意味で、「高麗犬(こまいぬ)」(高麗はかつて朝鮮半島にあった国)と呼ばれるようになったという。

シーサーとは

シーサーとは、獅子に似た獣の像である。沖縄の家屋の屋根・玄関などに置かれていることが多い。左右一対で置くのが一般的である。

一対のシーサー

左側の特徴
口を閉じている・幸運を招く・メス(※)
右側の特徴
口を開けている・悪霊を追い払う・オス(※)

※一概には言えないとする説もある。

狛犬同様、古代エジプト・メソポタミア文明を起源とし、中国を経由して沖縄に伝わったとされる。「シーサー」(八重山地方では「シーシー」とも)とは、沖縄の方言で獅子を意味する。

狛犬とシーサーの違い

一見似ている狛犬とシーサーだが、下記のような違いがみられる。

意味・役割

狛犬とシーサーはともに魔除けの役割を持つが、シーサーにはさらに幸運を招く役割もある。

狛犬には、神社やお寺に悪い気や霊が入ってきたとき、それらを追い払う、魔除けとしての役割がある。シーサーも狛犬と同様、家に悪霊(マムジン)が入ってこないよう、魔除けとしての役割がある(もとは火事から家を守ってくれる存在だった)。

しかし、シーサーの役割はそれだけではない。シーサーには、家の中に幸運を招き入れる守り神としての役割もある。特に、メスのシーサーが幸運を招くとされている。

設置場所・色・大きさ

狛犬とシーサーは、設置場所・色・大きさによって見分けることができる。

狛犬は、神社や寺に設置されている。石やコンクリート製のため灰色をしており、シーサーと比べるとサイズは大きい。

神足神社の狛犬

神足神社(京都)

他方でシーサーは、沖縄の民家に設置されている。黒土と赤土を混ぜてつくるため赤茶色をしており、狛犬と比べるとサイズは小さい

屋根の上のシーサー

屋根の上のシーサー

伝来ルート・時代

狛犬とシーサーの起源は、いずれも古代エジプト・メソポタミア文明と考えられている。ライオンは強さや権威の象徴・守り神と考えられ、ピラミッドの傍らにスフィンクス(頭は人間、胴体はライオンの怪物)の像が造られたことは有名である。

その考え方は、インドに伝わると左右一対で仏を守る形へと変化し、さらに中国へ伝わると、唐獅子(からじし)へと変化した。

狛犬とシーサーでは、この後のルートが異なる。狛犬は中国から朝鮮半島を経て、仏教とともに6世紀の日本に伝来した。

他方でシーサーは、中国から13~15世紀頃の沖縄に伝来した。起源は同じでも、伝来したルートと時代が異なっている。

まとめ

狛犬シーサー
向かって左
  • 角がある
  • 口を閉じている
  • 口を閉じている
  • 幸運を招く
  • 幸運を招く
向かって右
  • 角がない
  • 口を開けている
  • 獅子
  • 口を開けている
  • 悪霊を追い払う
  • オス
設置場所神社・寺沖縄の民家
灰色赤茶色
サイズ大きい小さい
伝来したルート中国→朝鮮半島→日本中国→沖縄
伝来した時代6世紀13~15世紀頃