「濃口醤油」と「薄口醤油」の違いって?
濃口醤油 | スタンダードな醤油のこと。色は濃いが、塩分濃度は低い。様々な料理や卓上調味料としても使うことができる。 |
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薄口醤油 | 主に関西地方で使われる、薄い色をした醤油のこと。塩分濃度は高い。卓上調味料としては不向きだが、素材の良さを活かした料理に向いている。 |
記事の目次
概要
濃口醬油とは、いわゆる一般的な醤油(※1)のことで、色が濃いものをいう。これは薄口醤油に対する表現であるため、普通は「醤油」と呼んでいる。香り・色・味のバランスが優れており、日本の醤油生産量の8割以上を占めている。
1 江戸時代以降、関東地方を中心に使われるようになった。現在では全国的に使われている。
他方で薄口醬油(※2)とは、主に関西地方で使用されることの多い醤油で、色が薄いものをいう。控えめの香りが特徴であり、日本の醤油生産量の13%程度を占めている。
2 「淡口醤油」とも呼ばれる。
濃口醤油と薄口醤油の違い
濃口醬油と薄口醤油は色の濃さや使用地域以外にも、下記のような違いがある。
原料
まず両者は、原料から異なっている。
- 濃口醬油:大豆・小麦・塩
- 薄口醤油:大豆・小麦・塩・米/甘酒・水あめ
濃口醬油は大豆・小麦・塩から作られるが、薄口醤油はそれらに米が加わる。さらに仕上げの段階で、甘酒や水あめを加える場合もある。これは、より豊かな風味を引き出すためである。
製造方法と塩分濃度
また両者は製造方法と、それに関連して塩分濃度にも違いがみられる。
- 濃口醬油:発酵を止めない/塩分濃度は低い
- 薄口醤油:発酵を止める/塩分濃度が高い
両者はともに、原料を発酵させて作る醸造食品である。醸造食品というのは一般的に、発酵・熟成が進むにつれて色が濃くなる。
ここで濃口醬油の製造方法を基準に考えた場合、薄口醤油は色を薄くするため、途中で発酵を止める(※3)ことになる。しかし発酵が不十分だと、変質しやすいという面がある。そこで塩分を多めに使用して変質を防ぐ必要があるので、薄口醤油の塩分濃度は高くなる。
3 他にも、発酵温度を低く設定するという違いがある。
具体的には、一般的な濃口醬油の塩分濃度がおよそ16%であるのに対し、一般的な薄口醤油の塩分濃度は塩分18~19%となっている。
用途
さらに両者は、使用が適している料理も異なっている。
- 濃口醬油:オールマイティー
- 薄口醤油:素材の良さを生かす料理
濃口醬油は、汁物・煮物・焼き物・たれなど、様々な料理に使うことができる。さらに卓上調味料(つける・かける用)としても優秀で、まさにオールマイティーに活躍する存在である。
他方で薄口醤油は、卓上調味料としては不向きである。しかしながら、薄口醤油は食材の味や色合い、香りを活かすことに長けている。薄口醤油が京料理や関西風の料理(※4)に多く用いられるのは、このためである。
4 例えば「お吸い物」「関西風おでん」「煮物」など
まとめ
濃口醤油(普通の「醤油」) | 薄口醤油 | |
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色 | 濃い | 薄い |
使用地域 | 全国的 | 主に関西地方 |
シェア | 80%以上 | 13%程度 |
原料 | 大豆・小麦・塩 | 大豆・小麦・塩・水 ※仕上げに「甘酒」「水あめ」 |
製造方法 | ― | 発酵を途中で止める |
塩分濃度 | 薄い(16%程度) | 濃い(18~19%) |
向いている用途 | オールマイティー | 素材の良さを活かす料理 |