「携帯電話」と「PHS」の違いって?

POINT
携帯電話持ち運んで使える、無線電話のこと。自動車電話を発展させたシステムを持つ。
PHS携帯電話の一種で、コードレス電話を発展させたシステムを持つ。

並べられた携帯電話

携帯電話・PHSの概略

携帯電話(携帯)とは、持ち運びのできる無線電話のことである。自動車電話(※1)の技術を発展させたシステムである。

日本国内で「ケータイ」というと一般的には「ガラケー」(※2)を意味し、近年登場した多機能携帯電話の「スマートフォン(スマホ)」とは区別される。

これに対してPHS(Personal Handy phone Systemの略)とは、携帯電話の一種でコードレス電話の技術を発展させたシステムである。

1 自動車電話とは、自動車に搭載されていた無線電話のことである。携帯電話が普及したことにより、あまり用いられなくなった。

2 ガラケー(ガラパゴスケータイ)とは、日本独自の機能を備えた携帯電話のことである。独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の生物になぞらえ、こう呼ばれている。

基地局の違いについて

基地局(アンテナ)

携帯電話とPHSはいずれも基地局(=アンテナ)を介して通話を行うが、両者の大きな違いはその能力の違いにある。

処理能力などの違い

基地局の電波の出力は、携帯電話が30W程度であるのに対して、PHSが20mW~500mWといわれている。そのため、一つの基地局でカバーできる範囲は携帯電話が半径数kmなのに対して、PHSは半径500mほどである。

またPHSは一つの基地局で、数台しか処理することができない。さらにPHSとその基地局は、1対1の関係(特定の基地局のみと通信する)になる。

これに対して携帯電話は基地局を重ねることができる(複数の基地局と通信する)ため、通信の安定化・高速化を図ることができる。

病院などで重宝されるPHS

処理能力に注目すると、PHSは携帯電話より劣っているように思える。しかしPHSは端末から発せられる電波が微量なことから、医療機器に与える影響が少ない。そのため、よく病院などでは導入されている

姿を消しつつあるPHS

PHSには、基地局を安く増やすことができるという利点がある。そこでPHSは1995年のサービス開始後、通話料金の安さから人気を集めた。だが携帯電話の料金も値下げが進んだ結果、PHSを使用するメリットが薄れたために、PHS利用者は減少していく。

2018年4月、唯一のPHS事業者であるソフトバンク(ブランドはワイモバイル)がPHSサービスを2020年7月末で終了することを発表した。そのため今後PHSは、一般的な通信機器としては姿を消す。