【こえる】越えると超えるの違いって?
越える | もの、時間、場所などが何かの上を通過すること |
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超える | 数、量などが基準を上回った状態のこと |
記事の目次
言葉の意味
越える
もの、時間、場所など何かの上を通り過ぎることで、通り過ぎることに重点をおき、追い抜くことも意味する。
転じて、一方から他方へものを渡す意味の引っ越すことにも使われる。「乗り越える・繰り越し」のように複数の言葉をつなげて使う場合にはだいたいこちらが使われる。
- 用例
- 山を越える(場所)
- 冬を越す(時間)
- 先を越す(追い抜く)
- 職場の近くに越す(引っ越す)
超える
数や量などが基準を上回った状態のことで、飛びこえてかけ離れるイメージ。
転じて抜きんでて優れることにも使われる。
- 用例
- 10キロを超える(数量)
- 予想を超える(飛びこえる)
- 限界を超える(抜きんでる)
使い分け
図のように本を例えにすると「越える」の場合、「50センチに積み重ねた本を越える」のように使われ、物の上を通過する意味になる。「超える」の場合、「積み重ねた本が50センチを超える」のように使われ、数値的な基準を上回る意味になる。
「超える」の場合、基準を大きくこえてかけ離れて抜きんでることを意味する。「越える」の場合、人間の能力を壁などの障壁ととらえて、それをのりこえるような比喩表現を表している。どちらも同じような意味で、一般的には「超える」が使われる。
どちらの漢字を使ってもあまり大きな違いはなく「やりすぎる」という意味。「超す」の方が限度を飛びこすイメージでその結果に重点があり、「越す」はじんわりと限度をこえてしまうことで、その過程に重点がある。
「越える」の場合、物理的に一方の国から他方の国へと渡る意味で使うときと、国と国の境を障壁に例えてそれをのりこえる意味の2通りあり、前後の文脈で判断する。
「超える」の場合、国としての立場をこえる意味(例:国境を超えて同盟を結ぶ)で使われる。
党派を超える
これら二つは例外的に「越権(持っている権限以上のことに手をだすこと)」「超党派(派閥に関係なく協力すること)」などの熟語を踏まえてそれぞれの漢字が指定される。
しかし同じような意味で「立場をこえる」などの用法において使い分けは曖昧で、立場を立ちはだかる壁をこえる比喩としてなら「越える」も使うことができる。
漢字の成り立ち
共通する部首「走」は何かに向かって行動すること。
「戉」は飛び上がってまたぐことを意味し、向こう側へ行くという意味。その課程に重点を置くイメージ。
「召」は躍り上がるという意味があり、そこから飛び越えるイメージや並外れることをイメージする。