【かつ】「活」と「喝」の違いって?
活 | 1.生きること 2.柔術で意識をとり戻す術 3.2が転じてやる気を奮い起こすこと、激励すること |
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喝 | 大声でどなること、叱ること |
記事の目次
使い方
死に直面しているような絶体絶命な状況でもなお生き延びる道を探すこと。生き抜くためにあえて危険な道を選ぶ意味にも使われる。
この場合の活は生きることの意味。
- 例
- 敵に囲まれた状況で死中に活を求め敵中突破した
この活は、柔術で行われる「活法」という、技を受けて意識を失ってしまった者に施す蘇生術のことで、転じて慣用句として「活を入れる」で停滞している人に対して元気づけ、やる気を奮い起こさせる意味で使われるようになった。
- 例
- だらけた職員に活を入れるため講習を行った
大声でどなること。叱りつけること。
仏教の禅宗からはじまった言葉で、「カーーツ」と大声で怒鳴ること。大声で怒鳴ることそのものを指し、喝を発することを一喝する・喝するなどともいう。「喝を入れる」は間違い。
- 例
- 乱れた世の中に「喝!」を叫ぶ
漢字の違い
生きることを意味し、いきいきとして勢いがあること。生命力を表す言葉。
音読みで「カツ」と読むと「活を入れる・活を求める」などの限られた使い方になるが、訓読みでは「活(い)き」と読み、「活きがいい・活かす」など、広く使われる。
叫ぶ・どなること。叱ること。
旧字体は「喝」。曷は人を押しとどめる大声の音を意味し、口(大声)で人を押しとどめることを意味する。
意味の違い
柔道のルーツともいえる柔術において、人を倒す「殺法(さっぽう)」と蘇生術である「活法(かっぽう)」は対になるものでどちらも習得すべき技だった。
絞め技などで「落ち」た状態といわれる、意識を失った状態から蘇生させるために行うものが活法で、活法を行うことを「活を入れる」と言った。
現代も柔道に伝えられ、「呼吸活」や「睾丸活」などが一次蘇生法として応用されている。
これらの意味から日常的な慣用句として「活を入れる」が使われ、元気づけたりやる気を起こしたりするような言動の意味になった。
仏教のなかで禅宗において、師が言葉では言い表せない禅の極意を弟子に示すために使われた叫びのこと。
はじまりは中国の禅師・馬祖道一(ばそどういつ)からとされるが、禅宗の中の一つである臨済宗の開祖・臨済義玄(りんざいぎげん)が有名である。
喝には4つあり「臨済四喝」といわれ、臨済録に書かれている。
- 刀で切るように迷いや苦しみを切り去る一喝
- ライオンの咆哮のような誰もが身をすくめるようなすさまじい一喝
- 漁師が魚を見つけるように相手の真偽を見抜くような一喝
- 喝を叫ばず生活や所作そのものが喝を示すもの
このような意味をもって喝といい、現代日本においても臨済宗では、葬儀で死者を悟りへと導く儀式である引導として「喝!」と叫ぶ。