「懐石料理」と「会席料理」の違いって?

POINT
懐石料理お茶をおいしく飲むための料理のこと。作法には細かなルールがある。ご飯・汁物は最初に出てくる。
会席料理お酒をおいしく飲むための料理のこと。作法にルールはない。ご飯・汁物は最後に出てくる。

お品書き

概要

懐石料理とは?

懐石料理のイメージ

懐石料理とは茶事(ちゃごと)において、お茶の前に出される簡単な料理のことをいう。

現在の懐石料理の形は安土・桃山時代、茶道の創始者・千利休が完成した。作法は各流派によってさまざまだが、一汁三菜(ごはんに汁物と3つのおかずを組み合わせた献立のこと)が基本である。

懐石とは禅僧(禅宗の僧のこと)に由来する言葉である。修行中の禅僧は、午後に食事をとることは許されなかった。そこで「温石(おんじゃく)」という、温めた石を懐(ふところ)に入れて空腹や寒さをしのいだという。

これと同じ程度、空腹を一時的にしのぐ程度の食事、という意味で懐石料理(懐石には料理の意が含まれているため、本来は「懐石」と呼ぶ)と名付けられた

会席料理とは?

会席料理のイメージ

会席料理とは、酒宴の際に出される料理のことをいう。

江戸時代、俳諧(はいかい)もしくは連歌(れんが:詩の一種)の会席で出された料理に始まる。本膳料理(下記参照)と懐石料理が変化したもので、基本的に一汁三菜ではあるが、決まった作法などはない。現在、日本料理の主流となっている。

本来は「俳席料理(はいせきりょうり)」と呼ばれ、質素で、お酒は会の終わりに少量出されるだけだったという。しかし次第に崩れていき、豪華で、お酒も俳諧の行事が終わらないうちに出されるようになった。

【参考】本膳料理とは

本膳(ほんぜん)料理とは、正式な日本料理の膳立てのことをいう。

発祥は室町時代で、江戸時代に大きく発達した。最も格式の高い饗応(きょうおう)料理だが、現代では冠婚葬祭の儀式料理くらいでしか見ることはない。二汁五菜が一般的で、膳も一の膳(本膳)から五の膳まであることも。

懐石料理と会席料理の違い

会席料理のイメージ2

ともに「かいせきりょうり」と読み、形式も似たような「懐石料理」と「会席料理」は、下記の点において違いがみられる。

目的・ルールの有無

懐石料理と会席料理はまず、食べる目的や細かなルールの有無といった点で異なっている。

懐石料理はお茶をおいしく飲むために食べる料理である。いきなり濃茶(こいちゃ)を飲むと、茶の味がわからなかったり、気分が悪くなったりすることもある。そこで茶をいただく前に、懐石料理を食べてそれらを防ぐ。懐石料理はわびさびの精神を表現したものであり、作法についても細かいルールが存在する。

他方で会席料理は、お酒をおいしく飲むために食べる料理である。くだけた酒宴の趣にふさわしいように発展してきたものであって、作法に関してルールはない。基本的なマナーさえ押さえていれば、カジュアルに楽しめる日本料理である。

【参考】懐石料理のルール

例えば、下記のようなルールがある。

  • ご飯と汁物は交互にいただく
  • お湯が沸くまでに食べ終える
  • 最後に器を拝見し、懐紙(かいし)で清める

料理の順番

お吸い物

懐石料理と会席料理は、出される料理の順番にも違いがみられる。

わかりやすい違いは、ご飯と汁物が出るタイミングである。懐石料理では、ご飯と汁物は最初に出される。他方で会席料理では、ご飯と汁物は最後に出される。

まとめ

懐石料理会席料理
共通点一汁三菜
発祥【安土桃山時代】茶の湯【江戸時代】俳諧・連歌の会席
目的お茶をおいしく飲むためお酒をおいしく飲むため
ルールあり(わびさびの精神)なし
ご飯・汁物のタイミング最初最後