「日本酒」と「料理酒」と「みりん」の違いって?

POINT
日本酒昔から日本で作られている酒、特に清酒(澄んだ酒)のこと。食材をやわらかくしたり、コク・うま味を出したりする働きがある。そのまま飲むことができる
料理酒料理に使う日本酒。食材をやわらかくしたり、日本酒よりもコク・うま味を出したりする働きがある。そのまま飲むことができない
みりん
(本みりん)
焼酎が原料の甘い酒。てり・つやを出したり、煮崩れを防いだりする働きがある。そのまま飲むことができる

日本酒のイメージ

概要

日本酒(清酒)とは?

日本酒のイラスト

日本酒とは、一般的に清酒を意味する。清酒は蒸し米に麹(こうじ)と水を加え、発酵・熟成させてつくる酒である。アルコール度数は14%程度。

料理酒とは?

料理酒のイラスト

料理酒とは、調味料として用いる日本酒をいう。清酒に食塩や糖類を加えてつくる。アルコール度数は14%程度。

みりん(本みりん)とは?

みりんのイラスト

みりん(本みりん)とは、焼酎に米麹(こうじ)と蒸し米を加え、発酵・熟成させてつくる甘い酒である。アルコール度数は13~22%程度。黄色透明で、粘りがある。調味料や飲料(正月のお屠蘇(とそ)など)として使う。

【参考】みりん風調味料とは?

スーパーマーケットなどでよく見かけるのが、みりん“風”調味料である。みりん風調味料とは、1%未満のアルコール(→酒税がかからない)に化学調味料などを加え、本みりんの味に似せてつくった調味料をいう。つまり、本みりんとは別物である。

日本酒と料理酒とみりんの違い

「日本酒」「料理酒」「みりん」は、いずれも調味料として使用されるお酒である。

そのまま飲めるか

日本酒とお猪口

日本酒とみりんはそのまま飲めるが、料理酒は飲めない。これには酒税法(酒類に課税するための法律)が関係している。

酒税法上の酒類の定義

第二条 この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。

「酒税法第二条」より

日本酒とみりんは酒税法の課税対象だが、料理酒は酒税法の課税対象ではない。料理酒には食塩(海水に近い濃度/1L中およそ20g)が入っている。あえて飲めなくすることによって(不可飲処置)、酒税法の課税対象から外しているのである。

このため、酒税法の課税対象である日本酒よりも、課税対象ではない料理酒のほうが安価で入手できる傾向にあると言える。とはいえ、料理酒であっても無塩タイプの商品もあるので、気になる場合は当該商品のラベルなどで確認してほしい。

調味料としての働き

魚の煮付け

「日本酒」「料理酒」「日本酒」は、調味料としての働きにも違いがある。

日本酒料理酒みりん
  • 食材の臭みを取る
  • コク・うまみを出す
  • 食材をやわらかくする
  • 味の染み込みをよくする など
  • 食材の臭みを取る
  • コク・うまみを出す
  • 食材をやわらかくする
  • 味の染み込みをよくする など
  • 食材の臭みを取る
  • 甘みをつける
  • てり・つやを出す
  • 煮崩れを防ぐ など

日本酒と料理酒の働きは基本的に同じだが、コク・うま味については料理酒のほうが上である。これは酸味・雑味が含まれているかどうかによる。

日本酒は、余分な酸味・雑味を抑えて作られている。飲用である日本酒には、味のバランスやキレの良さなどが求められるためである。

他方で料理酒には、日本酒を作る上では“余分”とされる酸味・雑味(※)が含まれている。しかし、これらは料理にコクやうま味を与える成分でもある。よって、日本酒よりも料理酒のほうがコクやうま味を出せる。

例えば生臭みを消す効果を持つ「有機酸」、うま味成分である「コハク酸」など。

【参考】代用について

日本酒と料理酒は、互いに代用することが可能である。もし、レシピに「酒」と書かれている場合には、一般的に日本酒(清酒)のことを指していることが多い。そしてこのとき、レシピ通りの量の料理酒を使ってしまうと、余分な塩分の摂取につながるので注意が必要

まとめ

日本酒料理酒みりん
そのまま飲めるか?対象対象外対象
酒税法の課税対象か?日本酒料理酒みりん
調味料としての働き
  • 食材の臭みを取る
  • コク・うまみを出す
  • 食材をやわらかくする
  • 味の染み込みをよくする など
  • 食材の臭みを取る
  • コク・うまみを出す(酸味・雑味が含まれているため、日本酒よりも効果が高い)
  • 食材をやわらかくする
  • 味の染み込みをよくする など
  • 食材の臭みを取る
  • 甘みをつける
  • てり・つやを出す
  • 煮崩れを防ぐ など