「一丁締め」と「一本締め」と「三本締め」と「三三七拍子」の違いって?

POINT
一丁締め手を打つ回数は、1回一本締めを簡略化した手締め。関東一本締めともいい、一本締めと混同されやすい。
一本締め手を打つ回数は、3回・3回・3回・1回。これを1セットだけ行う。三本締めを簡略化した手締め。内輪だけでの宴会で使われることが多い。
三本締め一本締めを3セット行う。正式な手締め。公式行事や来賓が招かれるような会で行われる。
三三七拍子おもにスポーツ選手に対し、エールを送るときに行う。
手を打つ回数は、3回・3回・7回を1セットとし、音頭を取る人に合わせて繰り返す。4拍子。

一本締めをするサラリーマン

手締めとは

一本締めをする主催者

一丁締めと一本締め、三本締めは、「手締め」の種類(関西では手打ちともいう)である。日本独特の儀式で、ものごとが無事に終わったことを祝い、主催者が協力者に感謝の気持ちを表すために、関係者がそろって拍子を合わせて手を打つことをいう。

一丁締めと一本締めは間違いやすい

一丁締めは「イヨーオ!」「パン!」1回だけ手を打つ。ところが、一丁締めのことを一本締めと混同している人が多く見られる。これは、一丁締めのことを「関東一本締め」とも呼ぶために混同されてしまうのだろう。

一丁締めは一本締めがさらに簡略化されたものであり、居酒屋など他のグループと相席をしているような会場では、迷惑にならないよう時間のかからない一丁締めにすることが多い。

一本締めと三本締めの使い分け

三本締めが正式な手締めであり、公式行事や来賓が招かれるような会で行われる。一方、一本締めは三本締めが略式化されたものであることから、内輪だけでの宴会で使われることが多い。

手を打つ回数やセット数が持つ意味

一本締め

一本締めのリズム

「イヨーオ!」というかけ声の後に、「パパパン パパパン パパパン パン」とやや早めのリズムで3回・3回・3回・1回、合計10回手を打つが、手を打つ回数の由来は、3+3+3=9、これを漢数字の「九」と捉え、さらに1、ひとつ点(ヽ)を加えることで「丸」の字になることから、ものごとがすべて丸く収まったということを表している。

また、はじめの「イヨーオ!」というかけ声は、「祝おう」が転じたもので、かけ声も含め「ものごとが無事に終わったことを皆で祝おう、感謝しよう」という意味が込められている。

三本締め

三本締めのリズム

三本締めでは、一本締めを3セット行う。3セットが持つ意味は諸説ある。

  • 東京都にある浅草神社で行われる三社祭において、土師中知、檜前浜成、檜前竹成の3つの神様それぞれに願いや誓いをすることから3セットになったという説。
  • 1セット目は主催者に、2セット目は来賓に、3セット目は企画・開催されたものごとそのものに対して、もしくは、その場に参加できなかった人に対して感謝を伝えるという説。
  • 三は割ることのできない縁起の良い吉数であり、ごひいきとの関係が壊れることなく今後も続くように、また、取引先の商売繁盛がこれからも続くようにとの願いを込めているという説。
  • 歌舞伎や落語などで三本締めが行われる場合は、1セット目をお客様に、2セット目を主催者に、3セット目を演者に感謝を表すという説。

一般的な祝いの席での手締めの手順

手を叩く女性

祝いの席が終盤に差しかかってきたら、主催者が締めの挨拶をする。手締めは、締めの挨拶の最後に行う。来賓が音頭を取ることはない

参加者は、手締めの声がかかったら、手締めの準備をする。

  • 床に座っているときは、座布団をはずして立つ。
  • イスに座っているときは、イスをテーブルの下に入れ、イスの後ろに立つ。
  • 音頭を取る主催者や幹事の発声や動きをよく見聞きし、タイミングを計る。

主催者は、このあと行う手締めがどのようなスタイルのものか、簡単に説明をするとスムーズに運ぶ。参加者の中には、一本締めと一丁締めを混同している人もいるため、バラバラにならないよう配慮する。

一本締め
主催者それではみなさま、お手を拝借! イヨーオ!
全員:パパパン パパパン パパパン パン
三本締め
主催者それではみなさま、お手を拝借! イヨーオ!
全員:パパパン パパパン パパパン パン
主催者イヨッ!(合いの手)
全員:パパパン パパパン パパパンパン
主催者もう一丁(もしくは、イヨッ!)(合いの手)
全員:パパパン パパパン パパパンパン
手締めが終了したら、参加者にお礼を伝える。
主催者ありがとうございました!

手締めのはじまり

他を叩いているイラスト

手を打つという行為の歴史は、古事記にまで遡ることができる。神社へ参拝したときや、神棚に向かってパン!パン!と柏手を打つことからも、古くから日本に根づいている風習であることがわかる。

現在のような祝いの席での締めの儀式として使われるようになったのは、江戸時代のことであり、もともとは手を打つ動作から「手打ち」と呼ばれていた。しかし、同音の人を殺める「手討ち」を連想させるため、座をまとめるという意味を持つ「手締め」ということばに変えられたといわれている。

また、手締めは典型的な民衆の口承伝統風習(口から口へと伝えること)のため、地域により行われる場面や手を打つ回数、テンポ、リズムが異なる。一本締めと三本締めは江戸締めであり、そのほかに、大阪締めや博多手一本などがある。

三三七拍子の由来

応援団

最初に始めたのは、1922年に発足した明治大学應援團(応援団)の初代団長であり、当時盛んであったレガッタ(ボートやヨットなどのレース)の応援のために作り出された

三三七のリズムは、三三七に区切られたかけ声に合わせたものである。

三三七拍子のリズム

  • ♪ 勝った ほうが いい
  • ♪ 勝った ほうが いい
  • ♪ 勝った ほうが いいっ たら 勝った ほうが いい

肩より上に両手を開いて上げ、手を打つリーディングスタイルは、初代団長が元相撲部であったことから、相撲取りが土俵入りする際の不知火型を採り入れたものが原型とされる。應援團は太平洋戦争(1941年12月~1945年8月)で一時途絶えたが、戦後に復活し、三三七拍子も受け継がれた。その後、東京六大学野球の応援に使用されたことで知名度が上がった。