【微生物の働き】「発酵」と「腐敗」の違いって?
POINT
発酵 | 微生物によって有機物が分解され、人間にとって都合の良いものになる現象のこと。 |
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腐敗 | 微生物によって有機物が分解され、人間にとって有害なものになる現象のこと。 |
記事の目次
発酵と腐敗の違い
発酵(醗酵)とは、微生物の働きによって有機物が分解され、有機酸やアルコールなどを生じさせることをいう。
一方で腐敗とは、微生物の働きによって有機物が分解され、有毒・有臭の状態になることをいう。
発酵と腐敗は、いずれも有機物が微生物の働きによって分解される点では同じである。そして実際には、両者を厳密に区別することは難しいといわれている。
だが一般的には、人間にとって有用か、もしくは有害かどうかによって両者は区別されている。
- 有用な場合 → 発酵
- 有害な場合 → 腐敗
言い換えると、腐敗という現象の中でも、人間にとって有用であるものを「発酵」と呼んで区別しているに過ぎない。またその区別は国や地域によっても異なり、曖昧なものである。
発酵について
まず発酵は、「発酵食品」があることからもわかる通り、人間にとって有用な作用をもたらす現象をいう。例えば、
- アルコール発酵:酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解する現象 → 酒の製造に利用
- 乳酸発酵:乳酸菌が糖から乳酸を生成する現象 → チーズやヨーグルトの製造に利用
などが挙げられる。
発酵させることによって、うまみや栄養価、保存性が高まるなどといったメリットがある。
腐敗について
これに対して腐敗とは、人間にとって有害な作用をもたらす現象をいう。例えば、食べ物が腐敗すると臭くなったり(※)、食べられなくなったりする。
タンパク質やアミノ酸などが分解されることにより、硫化水素やアンモニアなどの不快な臭いを発する成分が生成されるため