「小さな政府」と「大きな政府」の違いって?

POINT
  • どちらも政府の役割に対する考え方である。
小さな政府(安価な政府)政府は経済活動に最小限しか介入しないことを良しとする考え方のこと。低負担・低福祉になる傾向がある。
大きな政府政府は経済活動に積極的に介入することを良しとする考え方のこと。高福祉・高負担になる傾向がある。

デモ

小さな政府と大きな政府の違い

「小さな政府」と「大きな政府」とは、いずれも政府の役割に対する考え方である。ただし両者は政府に期待する役割、そして長所・短所などについて違いが見られる。

政府の役割

小さな政府

小さな政府とは、政府の役割を国防や治安維持などに限定し、経済活動には最小限の介入しか行わないことを良しとする考え方のことをいう。この考え方の背景には、市場原理(市場における過不足などを自ら調整する機能)に基づく自由な競争によってこそ、経済は健全に発展するという思想(アダム・スミス)がある。

なお、政府の活動が減ると国家の経費も少なくなるため、「安価な政府」とも呼ばれる。

大きな政府

他方で大きな政府とは、経済活動に積極的に介入することによって、国民生活を安定させようという考え方のことをいう。この考え方を採用する政府では福祉政策を中心とした仕事が増えるため、国家の経費も多くなる。代表例としては、北欧のデンマークやスウェーデンといった国がある。

長所・短所

両者はいずれが優れているということではなく、下記のように一長一短がある。

小さな政府
  • 民間経済の活力を引き出すことができる
  • 国民が負担する税金・社会保障費を低く抑えられる一方、福祉は充実しない(低負担・低福祉)。
  • 所得格差が生じやすい など
大きな政府
  • 財政破綻・民間経済の活力が失われるおそれ
  • 国民が負担する税金・社会保障費は高くなる一方、福祉は充実する(高福祉・高負担)
  • 所得格差を是正することができる など

まとめ

比較条件1比較条件2
経済活動への介入最小限にすべき積極的にすべき
長所
  • 民間経済の活力を引き出せる
  • 税金・社会保障費の国民負担額少
  • 国民が充実した福祉を受けられる
  • 所得格差を是正できる
短所
  • 国民が充実した福祉を受けられない
  • 所得格差が生じやすい
  • 財政破綻のおそれ
  • 民間経済の活力が失われるおそれ