「ヒラメ」と「カレイ」の違いって?
ヒラメ | カレイ目ヒラメ科に属する魚。大きい口・鋭い歯などが特徴で、眼を上にしたときに左を向いている場合が多い。 |
---|---|
カレイ | カレイ目カレイ科に属する魚の総称。小さい口・発達していない歯などが特徴で、眼を上にしたときに右を向いている場合が多い。 |
記事の目次
ヒラメとカレイの違い
「左ヒラメに右カレイ」で区別ができる
普通の魚類は左右対称に目がついているのに対し、ヒラメもカレイも体の片面に両目がつき、頭蓋骨もねじれている。
どちらも生まれてすぐは一般的な魚類と同じように左右対称だが、海底につく生活を始めるとともに両目が片面に移動する。
日本においては、腹側を下、目を上に置いたときに「左を向いているのがヒラメ」「右を向いているのがカレイ」と見分けることができる。
しかし例外も存在する。例えば、日本近海に棲むヌマガレイという種類は左側に目が付いているのだが(カレイなのに左向き)、生息地域によっても目の付き方に変化がある。アラスカ沖では70%が左側、アメリカ西海岸では50%が左側に目が付いているという。
ヒラメの方が大きな口をしている
ヒラメはカレイよりも口が大きいことが特徴で、鋭い歯を持っている。これは主にイワシ・アジなどの小魚を捕食するためである。ゆえにヒラメは攻撃的な性格ともいわれている。
他方でカレイは口が小さく、歯も発達していない。これは主に海底の砂の中からゴカイ(※1)や甲殻類といった小さなものを食べ、餌に襲い掛かることもないからである。ゆえにカレイはおっとりした性格ともいわれている。また、海底側の目のない面である無眼側(むがんそく)に口が発達している。
1 多毛類ゴカイ科の水性動物のこと。環形動物(=ミミズのような生き物)。
食用としての違い
どちらも食用として人気の種が多くあり、漁獲量の少ないヒラメの方が希少価値の高い高級魚として扱われることが多い。
ヒラメの旬は冬季から早春にかけてであり、刺身・フライ・煮つけ・すしなどにして食されることが多い。海底に潜り小魚が近づくと飛びつくヒラメの方が引き締まった身になるため、刺身などの生食に適しているといわれている
カレイの旬は種類によって異なり、煮物・干物・刺身・練り製品などにして食される。カレイは身が柔らかいため、煮物などに適しているが新鮮なものは刺身でも食べられる。
ヒラメもカレイもどちらも生食ではアニサキス(寄生虫の一種)が寄生している心配があるが、ヒラメにおいてはクドアという寄生虫も注意しなければならい。
ヒラメとカレイの特徴と生態
硬骨魚綱カレイ目ヒラメ科及びコゲヒラメ科の一部を含むものの総称。もしくは、和名ヒラメ(学名:Paralichthys olivaceus)の種のこと。カレイ比べるとヒラメと呼ばれる種の数は少ない。
大きさは5cmしかならないものから80cmに達するものまであり、最大のものは体重10kgになる。
赤道から南北の温帯と熱帯に住み、熱帯の沿岸域に最も種類が多い。生息域は沿岸の潮溜まりなど浅いところから水深1000mの深海まで生息する。
カレイと異なり、砂の中から餌が近づくと飛びつくという、体全体を使った俊敏な動きが可能。
成長が早いことと、海底で静止している時間が多いため酸素がそれほど必要ないことから、陸上での養殖が盛んに行われている。
硬骨魚綱カレイ目カレイ科とカワガレイ科およびベロガレイ科の総称。
種によって大きさは違うが、最大の種であるオヒョウは体長2m以上200kgをも超える。
カレイ科は寒帯などの寒い地方に多く、カワガレイ科とベロガレイ科は温帯から亜熱帯域の比較的暖かい地域に生息する。世界で110種、日本近海では40種がいるといわれている。
生息域は沿岸の浅いところから深海まで生息し、中には川を上って淡水域に住む者もいる。
カレイは成長が遅いため、養殖は行われないが、卵をふ化させて稚魚を放流する方法が取られている。
分類学上の違い
魚類の中では、同じように海底に体をつけて平たい体を持つコチなどがいるが、これは顔が左右対称のまま上から押しつぶしたように平たく進化したもの。
カレイ目は横向きのまま押しつぶしたような珍しい体を持つことから「異体類」とも呼ばれ、魚類としては特殊な形態である。
ヒラメとカレイはカレイ目に属し、カレイ目は2亜科14科716種とされ、魚類の中でも特に多種多様な種が属するグループである。そのため分類や系統は複雑で、分類学上でカレイとヒラメというくくりでは定義されない。便宜上、カレイ科とヒラメ科を中心にして区別している。
- ヒラメの仲間
- ヒラメ
- コケビラメ
- ガンゾウビラメ
- サクラガレイ
- ダルマガレイ
- ボウズガレイ など
一般的にカレイ目のうち、ヒラメ科の1種を指すか、ヒラメ科とダルマガレイ科・コケビラメ科の一部の総称として使われる。ヤリガレイやダルマガレイなど、和名でカレイとつくものもある。
舌平目(したびらめ)と呼ばれる魚もいて、同じカレイ目に属するウシノシタ科の魚を指すが、ヒラメの仲間には入らない。
- カレイの仲間
- マガレイ
- ヌマガレイ
- マコガレイ
- アサバガレイ
- ニシマガレイ
- イシガレイ
- スナガレイ
- クロガシラガレイ など
一般的にカレイ目のうち、カレイ科とカワガレイ科・ベロガレイ科(ウシノシタ上科)の総称で、ヒラメより種類は多い。
名前の由来
古くはヒラメとカレイとの区別はなく、どちらも「王余魚(カレイ)」や「比目魚(ひもくぎょ、ひらめ)」と呼ばれ混同されていた。王余魚は中国の故事からきた語で、王が魚のなますを作った際に半身を捨てたものが半面の魚になったという伝説に由来する。
現在は漢字で「鮃」か「平目」と書き、平たい体の上に目が並んでいるの「比目魚(ひもくぎょ、ひらめ)」から来たといわれる。
江戸時代には色の薄いものとか大きいものがヒラメで、カレイより味が劣るとされた。
現在は漢字で「鰈」と書き、枯れ葉のように薄いエイという意味の「唐鱏(からえい)・涸れ鱏」などから変化したといわれる。