「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」の違いって?

POINT
ゲンジボタルヘイケボタルよりも大きく、背中には黒い十字架のような模様がある。日本の固有種で本州以南に分布し、5~7月頃に見られる。曲線的に飛び、2~4秒に1回強く光る。
ヘイケボタルゲンジボタルよりも小さく、背中には黒くて太い縦の線がある。日本全国・朝鮮半島・中国北部などに分布し、7~8月頃に見られる。直線的に飛び、1秒に1回弱く光る。

手の中のホタル

ゲンジボタルとヘイケボタルの違い

世界にはおよそ2,000種のホタルがおり、そのうち40種程度が日本に生息しているという。中でもゲンジボタルとヘイケボタルは、日本に生息するホタルの代表的な種である。

分布・生息地

ゲンジボタル

ゲンジボタル

ゲンジボタル(源氏蛍:学名Luciola cruciata)は本州以南に分布するホタルで、日本の固有種である。

日本でホタルといえばゲンジボタルを意味するほど、古くから日本人に親しまれてきた。幼虫はきれいな水が流れる川辺などに生息し、主にカワニナという巻貝をエサにしている。

カワニナ

カワニナはゆるやかな流れのある川などに棲む

ヘイケボタル

ヘイケボタル

ヘイケボタル(平家蛍:学名:Luciola lateralis)は日本全国、朝鮮半島、中国北部などに分布する。日本の固有種ではない。

幼虫は水の流れが少ない水田や池沼などに生息し、カワニナやモノアラガイ、サカマキガイなどの巻貝をエサにしている。

モノアラガイ

モノアラガイは水田や湖沼などに棲む

成虫の見られる時期

ゲンジボタルの成虫は5~7月頃に見られる。ヘイケボタルの成虫はそれよりも遅く、7~8月頃に見られる。

ヘイケボタルの中には9~10月に成虫となる個体もおり、アキボタルと呼ばれることもある。

見分け方

ゲンジボタルとヘイケボタルは大きさや背中の模様、飛び方、光り方などによって見分けがつく。

大きさ

ゲンジボタルとヘイケボタルの大きさを比較すると、ゲンジボタルのほうが大きく、ヘイケボタルのほうが小さい

ゲンジボタルの体長はオスが15mm、メスが17mm程度である。ヘイケボタルの体長はオスが9mm、メスが11mm程度といわれるので、ゲンジボタルの半分程度の大きさしかない。

背中の模様

ゲンジボタルの模様

ゲンジボタルの模様

ヘイケボタルの模様

ヘイケボタルの模様

ゲンジボタルの背中中央には、黒い十字架のような模様がある。一方でヘイケボタルの背中には、黒くて太い縦の線がある。

飛び方と光り方

ホタルが飛んでいる様子

ゲンジボタルは曲線的に飛ぶ。関東では4秒に1回程度、関西では2秒に1回程度、強く発光する。地域によって発光の間隔が異なるのは、遺伝子の違いが原因と考えられている。

一方でヘイケボタルは直線的に飛ぶ。1秒に1回程度、不規則に弱く発光する。

掌で光るホタル

ゲンジボタルとヘイケボタルの名前の由来

ゲンジボタルの名前の由来は諸説ある。例えば以下のような説があるが、今のところ定説はない

  • 「光る」と『源氏物語』の光源氏をかけたとする説
  • 光ることに一種の力を感じたことから、山伏を意味する験師(げんじ)に由来する説(柳田国男)
  • 戦に敗れた源頼政の亡霊がホタルとなり、合戦を行った伝説に由来する説
  • 光るので暗くてもよく見えることから、顕示(けんじ)に由来する説
  • 戦国時代、ホタルが乱れ飛ぶ様子を螢合戦と呼んでおり、源平合戦になぞらえたという説

ヘイケボタルの名前はゲンジボタルが先にあり、後になって名付けられたものとみられる。ゲンジボタルより小さく、光も弱いことから、源平合戦で源氏に負けた平家の名がつけられたのであろう。

まとめ

 ゲンジボタルヘイケボタル
分布本州以南(日本固有種)日本全国・朝鮮半島・中国北部など
幼虫の生息地きれいな水が流れる川辺など水の流れが少ない水田や池沼など
成虫の見られる時期5~7月頃7~8月頃/秋に成虫となる個体もいる
体長の比較大きい
(オス15㎜/メス17㎜)
小さい
(オス9㎜/メス11㎜)
背中の模様中央に黒い十字架のような模様黒くて太い縦の線
飛び方曲線的直線的
発光の間隔地域により異なる
(関東:4秒に1回/関西:2秒に1回)
1秒に1回
発光度合いの比較強い不規則で弱い
名前の由来諸説あり(源氏物語説・山伏説・源頼政説など)ゲンジボタルより小さく、光が弱いことから