「文化」と「伝統」と「慣習」と「習慣」の違いって?
POINT
文化 | 言語・思想・技術・芸術・風俗といった、人間の生活様式の全体のこと。時間には重きを置かない表現。 |
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伝統 | 文化(=人間の生活様式の全体)のうち、世代を通じて引き継がれるもの。時間に重きを置いた表現。 |
慣習 | 生活上のならわしといった個別的な行動様式。社会的な行動様式のみを意味する。 |
習慣 | 生活上のならわしといった個別的な行動様式。社会的・個人的な行動様式を意味する。 |
記事の目次
文化と伝統と慣習と習慣の違い
「文化」「伝統」「慣習」「習慣」はいずれも似たようなイメージのある言葉だ。抽象的な言葉なので区別がつきにくいが、以下のような意味の違いがある。
文化と伝統の比較
文化とは人間の生活様式の全体をいう。
具体的には言語・思想・技術・芸術・風俗などである。地域や社会、民族によって異なる文化が見られるが、相互に影響を与えることによって発展してきた部分も多いにある。
一方で伝統とは文化のうち、世代を通じて引き継がれるものをいう。
文化と伝統の違いは、時間に重きを置くかどうかである。文化が時間には重きを置かない表現であるのに対し、伝統は時間に重きを置いた表現だ。通常、文化は世代を通じて伝えられるものである。ところが、必ずしもすべての文化が引き継がれるわけではない。この意味では「文化 > 伝統」と言える。
慣習と習慣の比較
文化・伝統と似た意味で使われるのが、慣習や習慣だ。慣習とは、とある社会や集団の中で受け継がれてきた生活上の行動様式をいう。
一方で習慣とは、(1)とある社会や集団の中で受け継がれてきた生活上の行動様式(2)個人が後天的に身に付けた行動様式をいう。
ここではまず、慣習と習慣の違いから整理してみよう。慣習と習慣の違いは、個人的な行動様式を含むかどうかである。慣習は社会的な行動様式のみを意味する。
一方で習慣は社会的な行動様式のみならず、個人が後天的に身に付けた行動様式の意味も含んでいる。
- 慣習・習慣の例文
- 「日本では夏になると、お中元を贈る慣習(習慣)がある」
- 「訪れる国の慣習(習慣)は尊重すべきだ。」
- 「早寝早起きを習慣づける」 → 個人の行動様式なので慣習は×
文化・伝統と慣習・習慣の比較
では、文化・伝統と慣習・習慣の違いはなんだろうか。それは行動様式がカバーする範囲である。文化・伝統は思想・技術・芸術といった、集団の全体的な行動様式を意味する。
一方で慣習・習慣は生活上のならわしといった、個別的な行動様式を意味している。