「社団法人」と「財団法人」の違いって?

POINT
社団法人法人格を持った、人の集まりのことをいう。設立する際、必ずしも財産を拠出しなくて良い。法人の構成員である社員がいる
財団法人法人格を持った、財産のことをいう。設立する際に、必ず財産を拠出しなくてはいけない。法人の構成員である社員はいない

定款の書類

概要

社団法人とは

大人たちの握手

社団法人とは一定の目的を持った人々の集まり(=集団)で、法人格(※1)を有する集団のことをいう。営利を目的としない、非営利法人(※2)である。

1 法人格とは権利・義務の主体となる、法律上の人格のことをいう。例えば団体が法人格を持っていれば、その団体の名前で銀行に口座を持ったり、契約を行ったりすることが可能となる。

2 非営利とは無償・ボランティアなどという意味ではなく、「構成員に利益を分配しない」という意味である。そのため株式会社などの営利法人と同様、事業で利益を上げ、従業員への給与支払い(労働の対価として)などに充てることは問題ない。

社団法人の例
一般社団法人日本経済団体連合(経団連)
日本経済の自律的な発展・国民生活の向上を目的とする集団
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
音楽の著作物にかかる著作権の保護・音楽文化の普及発展を目的とする集団

社団法人には現在の法律において、下記の二つの区別される。

一般社団法人

一般社団法人とは、定款(ていかん)(※3)の認証と登記をすれば、誰でも設立が可能な社団法人のことである。

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される。「社員」(※4)によって構成されているのが特徴である。

3 組織・活動・構成員などについて定めたルールのこと。

4 株式会社の株主に相当する存在のこと。労働の対価として給与を受け取るという、従業員(会社員)の意味としての「社員」とは異なる。

公益社団法人

公益社団法人とは、行政庁から公益認定を受けた社団法人のことである。

認定を受けるには、まず上述した一般社団法人を設立し、行政庁に審査の申請を行う必要がある。なお、公益社団法人に認定されれば、優遇措置等(※5)を受けることができる。

5 法人税が非課税になるなど

財団法人とは

ブタの貯金箱のイメージ

財団法人とは、一定の目的のために設立者から提供された財産(※6)を、管理・運営するための法人のことをいう。社団法人と同様、非営利法人である。

6 300万円以上でなくてはならない。現金だけでなく、現物出資も可。

社団法人には現在の法律において、下記の二つの区別される。

財団法人の例
公益財団法人日本財団
社会福祉・教育・海外協力援助などの支援のために財産を拠出
公益財団法人出光美術館
美術・情操教育の振興、文化の向上発展のために財産を拠出
一般財団法人

一般財団法人とは定款の認証・財産の拠出・登記をすれば、誰でも設立が可能な財団法人のことである。

一般社団法人と同様、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される。

公益財団法人

公益財団法人とは、行政庁から公益認定を受けた財団法人のことである。

認定を受けるには、まず一般財団法人を設立し、行政庁に審査の申請をする必要がある。なお、公益財団法人に認定されれば、優遇措置等(※5)を受けることができる。

社団法人と財団法人の違い

ビルを見上げた風景

以上より、両者はいずれも「非営利法人」である点では共通していることがわかる。

  • 社団法人:人の集まり
  • 財団法人:財産

まず社団法人は、人の集まりに対して法人格が与えられるものをいう。

他方で財団法人とは、財産に対して法人格を与えられるものをいう。

 設立要件(財産の拠出)

また両者は設立時、財産の拠出が必要となるか否かについても、違いがみられる。

  • 社団法人:必要なし
  • 財団法人:必要あり(300万円以上)

社団法人は上述の通り、人に重点を置いた法人である。そのため、財産がなくても設立が可能である。

他方で、財団法人は財産に重点を置いた法人である。そのため、一定の財産(=300万円以上)を設立時に拠出する必要がある。

社員の存在の有無

さらに両者は、社員の存在がいるのかいないのか、という点でも違いがみられる。

  • 社団法人:社員がいる
  • 財団法人:社員がいない

社団法人を設立するには、最低2名以上の社員(+理事1名)が必要となる。社員は法人の最高意思決定機関である社員総会に出席し、議決権を行使することのできる存在である。

他方で一般財団法人は、財産が中心となって作られる法人である。そのため、社員という制度は存在しない。しかし設立時には、最低でも理事3名・評議員3名・監事1名が必要となる。なお、最高意思決定機関は評議員(※7)たちによって構成される、評議員会である。

7 評議員は財団が正しく運営されているかを評価するための存在で、理事や監事以外の人から選ばなければならない。

まとめ

社団法人財団法人
非営利法人非営利法人
種類
  • 一般社団法人
  • 公益社団法人
  • 一般財団法人
  • 公益財団法人
相違点法人格の基礎人の集まり財産
設立時の財産の拠出不要必要
社員の存在ありなし
最高意思決定機関社員総会評議員会