「黄砂」と「PM2.5」の違いって?
POINT
黄砂 | 中国の乾燥地域から砂が飛んでくる現象のこと。主に春に発生し、健康被害・視程障害・農作物への被害などをもたらす。 |
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PM2.5 | 大気中に飛んでいる2.5μm(マイクロメートル)以下の非常に小さな粒子のこと。物質の種類は問わない。1年中発生し、健康被害をもたらす。 |
記事の目次
黄砂とPM2.5の違い
黄砂(こうさ)とPM2.5(ぴーえむにーてんご)はともに人間に被害をもたらすものである。特に中国関連のニュースで見聞きすることが多いだろう。
黄砂・PM2.5の意味の違いと関係性
黄砂とPM2.5が本来意味するものは全く異なるが、以下のような関係も持っている。
まず黄砂とは中国西部に位置する乾燥地域の砂塵(さじん/砂やちり)が偏西風(西から東へと吹く風)で運ばれ、中国東部・朝鮮半島・日本などに降下する現象をいう。飛散すると、空が黄褐色に見える。
出典:気象庁「黄砂に関する基礎知識」
黄砂は春に多く発生するが、秋にも発生する。雪に覆われる冬、雨が降って草が生える夏には発生しない。
一方でPM2.5とは大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことである。非常に小さいので、微小粒子状物質(particulate matter)とも呼ばれている。
- 大きさの比較
- 髪の毛・・・50~100μm
- スギ花粉・・・30~40μm
- 黄砂・・・1〜30μm前後
PM2.5はあくまでも大きさの問題であり、物質の種類は問わない。以下の例を見てもらうとわかるように、PM2.5は1年中発生している。
- PM2.5となりえる物質の例
- 工場・自動車などから出る煤煙(ばいえん)
- 火力発電所などから出る硫黄酸化物・窒素酸化物(→大気中で化学反応を起こす)
- 黄砂 など
一般的な黄砂の大きさは上述した通り、1〜30μm前後である。すなわち黄砂でも直径2.5μm以下の大きさであれば、PM2.5に含まれるというわけである。
人間にもたらす被害
黄砂とPM2.5が人間にもたらす健康被害は似ている。まず黄砂がもたらす健康被害としては、以下のようなものがある。
- 黄砂による健康被害の例
- 目のかゆみ・結膜炎などのアレルギー症状
- 喘息(ぜんそく)や気管支炎などの呼吸器系疾患
- 心筋梗塞などの循環器系疾患 など
ただし黄砂は健康被害だけではなく、周りの景色が見えなくなる視程障害や農作物への被害なども引き起こしている点がPM2.5とは異なる。
一方でPM2.5がもたらす健康被害としては、以下のようなものがある。
- PM2.5による健康被害の例
- 喘息(ぜんそく)や気管支炎などの呼吸器系疾患
- 不整脈などの循環器系疾患
- 肺がんリスクを高める など
PM2.5は非常に小さく肺の奥深くまで入り込みやすいため、呼吸器だけでなく循環器への影響も懸念されている。
まとめ
黄砂(こうさ) | PM2.5 | |
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意味 | 中国西部にある乾燥地域の砂塵が偏西風で運ばれ、日本などに降下する現象 | 大気中に浮遊している2.5μm(マイクロメートル)以下の小さな粒子のこと |
黄砂とPM2.5の関係性 | 2.5μm以下であれば黄砂もPM2.5に含まれる | |
発生する季節 | 多くは春 | 1年中 |
人間にもたらす影響 |
| 呼吸器系疾患・循環器系疾患・肺がんリスクを高めるなどの健康被害 |