「株券」と「債券」の違いって?

POINT
株券株式会社が発行する証券のこと。株式会社へ出資を行うことにより、取得することができる。
債券企業や国・地方自治体などが発行する証券のこと。各発行団体への貸付を行うことにより、取得することができる。

株価チャートのイメージ

株券と債券は、企業などから見た場合には、いずれも資金調達を行うために発行する証券のことをいう。しかし、両者には下記のような違いが見られる。

株券について

株券とは、株主であることの地位や権利を表す有価証券のことをいう。株券には会社の商号や発行日、代表取締役の署名などが記載されている。

かつて、株券は紙で発行されているのが当たり前であった。というのも、すべての株式会社は株券の発行を義務付けられていたからである。

株券の電子化

しかし2000年代に入り、原則として株券を発行する必要はないことになった。さらに2009年1月より、上場企業の株券はすべて電子化(ペーパーレス化)が実現した。

現在は証券保管振替機構(通称ほふり)と各金融機関に開設されている口座によって、株主権の管理が行われている。

なお、株券を電子化することによって、以下のようなメリットを得られる。

  • 名義書換の手間の減少
  • 盗難や紛失のリスクの減少

償還期限の有無

以上のような特徴を持つ株券だが、債券との最大の違いは償還期限の有無にあるといえる。

株券(電子化されたものを含む)を取得するには、その価格に見合う金銭もしくは資産を払い込む必要がある。株式会社側はその金銭等を自己資本に組み込み、それらを将来にわたって返還することはない。つまり、株券に償還期限はない

なお株券の所有者は、株式市場での売却を通じて資金を回収することができる。また配当を受けることでも利益を得ることができる。

債券について

これに対して債券とは、投資家などから資金を調達(=借金)する際、元利金の返済を約束するために発行される証書のことである。債券を発行した方が、銀行から借り入れを行うよりも有利な条件で資金調達を進めることができるといわれている。

株式会社以外も発行可

株券は株式会社しか発行することができないが、債券は株式会社以外の会社や国・地方自治体なども発行することができる。例えば企業が発行する債券を「社債」、国が発行する債券は「国債」と呼ぶ。「外債」は海外のマーケットで発行する債券である。

償還期限の有無

投資家にとって、株券の取得は「出資」としての意味を持つが、債券の取得は発行団体に対して「貸付」を行うということである。あくまでも貸したお金であるため、あらかじめ取り決められた期限を迎えれば返って来る。つまり、債券には償還期限がある

なお、債券の所有者には、基本的に貸付に伴う利子が支払われる。

債権とは

よく、「債券」と「債権」が混同して使われているケースが見受けられる。読み方は一緒だが、意味はまったく別であるので注意したい。債権は「債務」の対義語であり、金銭などの請求できる権利のことである。債券とは違い、証書の意味はない。