【あし】「足」と「脚」と「肢」の違いって?
- すべて、生き物の胴から分かれる体の部分で「あし」のこと。体を支え、移動のために使われる。
足 | さまざまな生き物のあしを表す。部分を指すときはくるぶしから下のあし先のこと。 3つの中では最も多く慣用句に使われる漢字。 |
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脚 | あし全体を表す。またはくるぶしの上あたりから股関節にかけての部分。 |
肢 | 動物や昆虫などのあしを表すときに主に使われる、手と足を合わせた総称。 |
記事の目次
言葉の意味
足
ヒト・動物・昆虫など、生き物のあし全般に使われる。
ヒトの足の場合、くるぶしからあし先までを表すのが一般的。そこから「一足(いっそく)、二足(にそく)…」のように靴を数える単位としても使われる。
あしを使った用字・慣用句で、もっとも一般的に使われる漢字。特に足を使った動作や行動を表現するときに用いる。
脚
一般的にはあし全体を指すが、股関節からくるぶしまでを指すことも多い。
生き物以外では細長い物を支える部分をあしに見立てて「脚(あし)」を使うこともある。それらの中で特に椅子は「一脚(いっきゃく)、二脚(にきゃく)…」と数える。
肢
「肢(あし)」のみで使う場合、特に動物や昆虫など手足の総称として使われる。
手足は「前肢(まえあし)・後肢(うしろあし)」と分けて表現され、医学的な使い方の場合「前肢(ぜんし)・後肢(こうし)」と読む。ヒトの場合、手は上肢(じょうし)、あしは下肢(かし)という。
使い分けや用例
人間や動物の部位である「あし」としての使い方
部位を強調する場合、足はくるぶしより下、脚はくるぶしより上を示す。
「くじく」とは関節を痛めることで、この場合足首を指す。
すらりと伸びるイメージを強調したいときには脚を使い、動物的なイメージや医学的な表現にしたいときに肢と書く。
- 例
- カメがひっくり返って肢を目一杯ばたつかせている
物の形状や機能をあしに見立てた場合
物の支えに見立てて使われる場合、短いものは「足」、長細いものは「脚」を使う。船の場合、水面から下に入っている部分を「足」という。
雨の勢いを「雨脚(あまあし)」船のスピードと安定性を「船脚」といい、「雨足・船足」とも使う。食べ物の場合、腐る度合いを表現する。
それぞれ、「強い・弱い・はやい」などと使う。
あしが生えているように飛び回るイメージからお金のこと自体を「お足」または「お銭(あし)」と呼ぶ。
想定していた予算の金額からはみ出るとき「足が出る」といった使い方もされる。
「偏(へん)」や「旁(つくり)」と同じように、漢字の構成部位として、下側の部分を「脚」という。
あしを使った動作や慣用句
動作や行動を意味する用字や慣用句などではほぼ「足」が使われる。
- 用例
- 足を運ぶ(訪れる)
- 足が向く(気が向く)
- 客足(訪れる客の数)が途絶える
- 足が奪われる(移動のための交通手段がなくなる)
- 足がかりにする(きっかけをつかむ)
- 足を洗う(汚れた足を洗うように悪いことをやめる)
- 足がつく(足どりや犯罪が明らかになること)
- 足が地につく(堅実に行動する)
その他の「あし」と読める漢字
「足・脚・肢」以外にあしと読むものは「趾・疋・趺・跖・蹠」がある。
「趾」はあし・あしゆび・ゆびと読み、意味も足の指を示し特に解剖学で使われる。「疋」は左右両足、「趺」はあしの甲、「跖」と「蹠」はあしの裏を指し、それぞれに部位として使い分けることはできるが、常用漢字でないため一般的には使われない。