「小選挙区制」と「比例代表制」の違いって?

POINT
小選挙区制ひとつの選挙区から1人の候補者を選出する方法。
比例代表制各政党の得票率によって、議席が配分される方法。

選挙ポスター掲示板

小選挙区制と比例代表制は、いずれも国政選挙に用いられている選挙方法である。それぞれには下記のような長所・短所がある。

小選挙区制の長所・短所

投票箱

小選挙区制は、ひとつの選挙区から1人の代表を選出する方法である。

長所としては、選挙区が狭いため、選挙費用がかさまない。また、きめ細かな選挙運動を展開できることから、有権者側も候補者の政策や人柄などについてよく知ることができるといった点が挙げられる。

一方で、たった1人しか選ばれないことから、死票が多くなるといった短所もある。また、当選者は第一党や第二党に傾き、少数政党には不利であるといった批判などもされる。

比例代表制の長所・短所

投票用紙

比例代表制とは、各政党の得票数に応じて議席が配分される方法(※)である。

比例代表制には小選挙区制と比べて死票は少なく、国民の意志をより選挙結果に反映できるという長所がある。一方で小党分立を招きやすく、政局が安定しないというおそれがある。

総得票数が最も多い政党に議席をひとつ与え、その後合計獲得票数をすでに配分された議席数に1を足した数で割り、最も多い政党に議席を与える。これを繰り返していく方法をドント式配分方式という。

なお、比例代表制は衆議院と参議院の選挙において導入されている。そして現在の参議院議員選挙においては、投票時に政党名もしくは候補者名を記入して良いことになっている。

小選挙区比例代表並立制

衆議院の表札

それぞれの長所を生かし、補完しあうための制度が小選挙区比例代表制である。

文字通り、小選挙区制と比例代表制を組み合わせて代表者を選出する。現在、この方法は衆議院選挙において導入されている。小選挙区から289名、比例代表制からは176名が選出される(2021年現在)。

まとめ

小選挙区制比例代表制
選出方法ひとつの選挙区から1人各政党の得票数に応じて議席を配分
長所
  • 選挙費用が低く抑えられる
  • 有権者が候補者について深く知ることができる
  • 大政党にとって有利になるため、政権が安定する
  • 死票が少なくなり、少数意見を反映しやすい
短所
  • 死票が多くなり、少数意見を反映しにくい
  • 少数政党が当選する機会が低くなる
  • 各政党の獲得議席数は、国民からの支持率を忠実に表すものではなくなる
  • 小党分立を招きやすく、政局が安定しないおそれ
  • 政党の政策が主となり、候補者自身の政策や人柄についてはわかりづらくなる