「デッサン」と「スケッチ」と「クロッキー」の違いって?

POINT
デッサン人物や物体など静止しているあらゆるものを、形や陰影などを意識して描くこと。描くのに時間の制限はない
スケッチ人物や風景など短時間でおおまかに描くこと。
クロッキー人物や動物などの動きのあるものを、特徴をとらえて素早く描くこと。スケッチよりも短い時間(10分以内が目安)で描く。

スケッチブックと鉛筆

概要

デッサンとは

デッサンしたブドウ

デッサンとは鉛筆やコンテ(※1)などで描かれる、単色の線画のことをいう。もとは作品の下絵などとして描かれていたものだが、次第にそれ自体が価値を持つ即興画という意味に変化した。語源はフランス語のdessinであり、日本語では素描(そびょう)と訳される。

1 デッサンに用いられる画材。クレヨンの一種で、鉛筆よりも濃淡がはっきり描くことができる。

スケッチとは

スケッチした風景

スケッチとは目の前の風景などを鉛筆やコンテなどを用いて、短時間でおおまかに描くことをいう。語源は英語のsketchで、日本語では写生と訳される。

クロッキーとは

クロッキーで描いたバレリーナ

クロッキーとは、短時間で人の動きや量感などを、鉛筆やコンテなどを用いて短時間で描くことをいう。語源はフランス語のcroquis(※2)で、日本語では速写と訳される。

2 もとは英語のsketchに相当する語

以上より、三者はいずれも絵画用語であり、鉛筆やコンテなどを使用した簡易的な絵ということがわかる

デッサンとスケッチとクロッキーの違い

目的と描く時間

まず三者は、描くことに要する時間が異なる。

  • デッサン > スケッチ > クロッキー(通常10分以内)

このように時間が異なる理由は、それぞれの目的が違うからである。

デッサンは、対象物の形・質感・陰影・位置関係などを意識して描くことを目的としている。そのため、通常は時間がかかる作業とされる反面、美術教育や訓練の一環としても取り入れられている。

一方でスケッチは短い時間でおおまかに対象を描くことを目的としているので、デッサンよりは短時間の作業となる。

さらにクロッキーは、変化していく対象物の特徴を素早くとらえて描くことが目的であるため、スケッチよりもさらに短時間で行われるのが通常である。

描く対象

また三者は、描く対象によっても区別することができる。

デザインの対象となるのは通常、人物や石膏といった、静止しているあらゆるものである。一方でスケッチの対象となるのは、目の前に広がる風景であることが多い。さらにクロッキーは人物・動物といった、動きがあるものである。

まとめ

デッサンスケッチクロッキー
語源dessin(仏語)sketch(英語)croquis(仏語)
日本語訳素描写生速写
目的形・質感・陰影・位置関係などを意識短い時間でおおまかに変化する対象物の特徴を素早くとらえる
時間長時間短時間より短時間(10分程度)
対象物静止するあらゆるもの風景など人物・動物など動くもの