セメント、コンクリート、モルタル、アスファルトの違いって?

POINT
セメント石灰石・粘土を焼いて砕いた粉末のこと。コンクリートやモルタルの材料となる。
コンクリートセメントに水・砂・砂利などを混ぜたもの。巨大公共建築物から住宅用建材まで様々なものに使われる。
モルタルセメントに水・砂を混ぜたもの。主に住宅に使われる。
アスファルト炭化水素の混合物で、原油から作ることができる。主に道路の舗装などに使われる。

工事現場の人

セメントについて

セメントを混ぜているシーン

セメントとは

セメントはコンクリートコンクリートについて参照)やモルタルモルタルについて参照)の材料となる、灰色の粉末のことをいう。石灰石や粘土などを焼成し、粉砕したものである。

セメントの種類

セメントの種類は大きく分けて三種類、ポルトランドセメント混合セメント特殊セメントがある。

セメントの種類の図

セメントの種類

クリンカ(クリンカー):石灰石・粘土などの原料を焼いて冷ましたもの。
混合材料:高炉スラグ、シリカフューム、フライアッシュ

一般的にセメントというとポルトランドセメント、特に「普通ポルトランドセメント」を意味することが多い。

ポルトランドセメントは汎用性が高く、成分の種類や割合を変えることよって様々な用途に使い分けらりことができる。日本国内で使用されているセメントの多くが、この「普通ポルトランドセメント」といわれている。

セメントの用途

セメントは建築材としては単独で用いられることはなく、上述した通り、コンクリートやモルタルの原料として用いられている。セメントは水と反応して、砂や砂利などをくっつける働きをしている。

なお、セメントを水で練ったものを「ノロ」や「セメントペースト」というが、これはタイル目地のひび割れの補修などに用いられている。

コンクリートについて

コンクリートの壁

コンクリートとは

コンクリートとは、セメントに水・砂・砂利や砕石などを入れて作る建築・土木材料のことをいう。コンクリートの中に鉄の棒を埋め込み、補強したものが鉄筋コンクリート(RC)である。

コンクリートの種類

コンクリートの種類としては、一般構造用コンクリートから気温に対応するコンクリート(寒中コンクリート・暑中コンクリート)、大型構造物に適したコンクリート(マスコンクリート・流動化コンクリート)など、様々である。

コンクリートの長所・短所

コンクリートの長所としては、成形が容易・耐久性や耐火性に優れている・圧縮に対する抵抗性が大きいという点を挙げることができる。

これに対してコンクリートの短所としては、引張りに対する抵抗性が小さい・重い・簡単には壊すことができないという点を挙げることができる。

コンクリートの用途

コンクリートは橋やダムなどの巨大な公共建築物から、マンションなどの住宅用建材まで幅広く使用されている。

モルタルについて

モルタルの壁

モルタルとは

モルタルとは一般的にセメントに砂を加え、水で練ったもの(=セメントモルタル)のことをいう。すなわちコンクリートから砂利などの粗骨材を抜いたものがモルタルともいえる。

セメントの利用法

含まれている原料の例

モルタルの種類

モルタルは上述した通り、一般的にはセメントモルタルのことを指す。他にもセメントの他に消石灰を使用した石灰モルタルや樹脂モルタルといった種類もある。

モルタルの長所・短所

モルタルはコンクリートより強度が低いという短所があるが、粗骨材が入っていないのでなめらかもしくは繊細に仕上げることができるといった長所もある。

モルタルの用途

それらの特性から、モルタルは主に住宅に使われることが多い。外壁・内壁・床・ベランダ・タイルの接着など、多様な場所に使用されている。

アスファルトについて

アスファルトの道

アスファルトとは

コンクリート、モルタルはセメントを原料とする素材であった。これに対してアスファルトには、セメントは含まれていない。アスファルトとは炭化水素の混合物であり、石油アスファルトと天然アスファルトの二種類が存在する。

  • 石油アスファルト:原油を蒸留して製造したもの。
  • 天然アスファルト:天然に存在しているもの。自然に存在する原油から軽質分が蒸発したものと考えられている。

日本国内で「アスファルト」というと、一般的には石油アスファルトのことを意味する。見た目は黒に近く、熱を加えると容易に溶解するのが特徴である。

アスファルトの長所・短所と用途

アスファルトの長所としては、耐久性の高さ・熱による加工のしやすさなどが挙げられる反面、熱や圧力に弱いという短所もある。

アスファルトはその施工性の高さ(※)などから、主に道路の舗装(表面を固めること)などに使用されている。他にも絶縁材や塗料などとして使われることもある。

熱を加えて加工し、常温に戻ればすぐに交通開放できる。

まとめ

 セメントコンクリートモルタルアスファルト
作り方石灰石・粘土から作るセメント・水・砂利・砕石などから作るセメント・水・砂から作る原油を蒸留して作る(天然のものも存在)
種類ポルトランドセメント・混合セメント・特殊セメント など一般構造用コンクリート・寒中コンクリート・マスコンクリート などセメントモルタル・石灰モルタル・樹脂モルタル など石油アスファルト・天然アスファルト
長所成形が容易・耐久性・耐火性・圧縮に対する抵抗性が大きいなどコンクリートに比べ強度が劣る耐久性の高さ・加工のしやすさなど
短所引張りに対する抵抗性が小さい・重い・簡単には壊すことができないなどなめらか・繊細に仕上げることが可能熱や圧力に弱いなど
用途コンクリートとモルタルの原料巨大公共建築物から住宅用建材まで多様主に住宅に使用される主に道路の舗装などに使用