「南極」と「北極」の違いって？

POINT

南極	南極大陸とその周辺地域のこと。氷の下に陸地がある。北極と比べると、氷は厚くて量も多い。気温は北極よりも寒い。生息する動物の種類が少なく、白夜は12月頃、極夜は6月頃に起こる。
北極	北極海とその周辺の地域のこと。氷の下に陸地はない。南極と比べると、氷は薄くて量も少ない。気温は南極よりも暖かい。生息する動物の種類が多く、白夜は6月頃、極夜は12月頃に起こる。

記事の目次

概要

南極とは、地軸が南半球で地表と交わる点（南極点）をいう。広義には、南極点を中心とする南極大陸とその周辺の地域を意味する。特に南緯 66度33分以南を南極圏と呼ぶ。南極大陸はほぼ氷雪に覆われ、気候はきわめて寒冷である。

南極大陸とそれを囲む南極海は、どの国も領土権を主張しないことが南極条約で決められている。

北極とは、地軸が北半球で地表と交わる点（北極点）をいう。広義には、北極点を中心とする北極海周辺の地域を意味する。特に北緯 66度33分以北を北極圏と呼ぶ。最暖月平均気温が0℃を上回らない地域と、最暖月平均気温が0℃以上10℃以下の地域の二つに大別できる。

北極海はどの国にも属していない公海である。ただし北極圏には、アメリカ・カナダ・ロシア・グリーンランド（デンマーク領）・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの計8カ国の領土が含まれている。

南極と北極は、どちらも地軸の端であり、寒さの厳しい地域である。似たようなイメージのある南極と北極だが、以下のように多くの違いがある。

南極大陸

氷で覆われた南極の下には、陸地が存在している。よって地球儀や世界地図には、南極大陸がかかれている。

一方で、北極も氷に覆われているが、その下には陸地は存在しない。つまり海（北極海）である。よって地球儀などには、陸地としての北極はかかれていない。

南極の氷

南極と北極はどちらも氷で覆われているが、氷の厚さには違いがみられる。

南極の氷は、大陸の上に氷が乗っているので厚い。平均は2,500メートルで、一番厚い（＝高い）ビンソンマシフ山は、4,892メートルである（参考値：富士山3,776メートル）。北極より氷の量も多く、南極には地球上のおよそ9割の氷があるといわれている。

一方で、北極の氷は海水の上に乗っているので薄い。平均は数メートル、最大でも10メートルである。南極より氷の量も少なく、北極には地球上のおよそ1割の氷があるといわれている。

気温を比較すると、南極のほうが寒く、北極のほうがまだ暖かい。この違いには、下記の2つの要素が関係している。

これらの関係を踏まえると、両者の違いは以下のように説明できる。

南極の最低気温の記録は、マイナス89.2度（ボストーク／1983 年）である。ボストークは南極大陸にあるロシアの基地で、標高3,488mの場所にある。北極と比較すると、南極は全体的に標高が高いため、南極のほうが寒い。さらに南極は大陸なので、海である北極よりも気温が低くなりやすい。

一方で、北極は標高が低いので、南極よりも暖かい。そして北極には陸地がないので、大陸である南極よりも、気温は高くなりやすい。そもそも、北半球でもっとも寒い場所は北極ではない。北半球の最低気温は、サハ共和国（ロシア東部にある国）のオイミヤコンで記録されたマイナス71.2度（1933年）である。

南極と北極は、生息する動物の種類にも違いがある。

南極は孤立した大陸である。動物が他の場所から移動することは難しいので、生息する動物の種類は少ない。南極で有名な動物といえば、ペンギンである。

ペンギン

一方で、北極は海である。さらにユーラシア大陸や北米大陸にも囲まれていることから、生息する動物の種類が多い。北極で有名な動物といえば、ホッキョクグマ（通称シロクマ）やホッキョクギツネである。

ホッキョクグマ

南極と北極は、どちらも白夜（びゃくや）と極夜（きょくや）がある。白夜とは1日中太陽が沈まない日をいい、極夜とは1日中太陽が昇らない日をいう。これらは、地軸が傾いている（公転軸に対して23.4度）ために起こる現象である。

12月の北極と南極

南極と北極では、白夜と極夜の起こる時期が真逆である。南極で白夜が起こるのは12月頃、極夜が起こるのは6月頃である。

一方で、北極で白夜が起こるのは6月頃、極夜が起こるのは12月頃である。