俳優と役者の違い

現在は同じ意味

俳優と役者は、いずれも舞台・映画などで演じることを職業とする人のことをいう。現在では一般的に、両者の意味は同じと考えられている。古くからある演劇（歌舞伎・能など）を演じる人に対して「役者」を用いることが多いものの、実際にどちらを用いるかは個人の考え方によるところが大きい。

語源

ただし、両者の語源はまったく異なるものである。

俳優は奈良時代以前から使われている言葉であるが、俳優と書いて「わざおぎ」と読んだ。「わざ」は神意や神霊、「おぎ」はヲグ（＝招く）の名詞形を意味している。すなわち俳優とは本来、滑稽な踊りや歌などによって神の力を招き寄せること・人のことであり、現在の「演じる」という意味はなかった。

他方で役者という言葉が生まれたのは、室町時代以降である。能や狂言といった芸能が生まれ、それらを演じる人のことを「ある役目をする人」という意味を持つ「役者」と呼ぶようになった。つまり、役者にはもとから「演じる」という意味があった。

なお、江戸時代には役者も歌や踊りをするようになった。そのため、俳優と役者の違いが曖昧になったと考えられる。

まとめ