【じゅんしゅ】「遵守」と「順守」の違いって?

POINT
  • いずれも「法律や規則などを守る」という意味。
遵守(じゅんしゅ)本来の表記。法令や教科書などで使われる。
順守(じゅんしゅ)「遵」の字が使えなくなりそうだったため、代わりにできた表記。新聞やテレビなどで使われる。

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遵守と順守の違い

遵守と順守は、ともに「じゅんしゅ」と読む。さらに法律・規則・道徳・習慣などを守るという、まったく同じ意味を持っている。つまり、両者は単に漢字が違うだけである。

当用漢字の公布

同じ意味にもかかわらず、違う漢字が使われるようになった理由は、当用漢字の登場である。

当用漢字とは、一般社会(法令・公用文・教科書・新聞など)で使用する漢字の範囲を定めたもので、「当用漢字表」に掲載された1,850字の漢字をいう。昭和21年(1946)に公布され、昭和56年(1981)まで使用された(※)。

昭和56年以降は「常用漢字」が使用されている。公布時点では1,945字であったが、平成22年(2010)に改訂が行われ、2,136字になった。

当用漢字表審議報告

昭和29年(1954)、当用漢字表を再検討した「当用漢字表審議報告」が行われる。報告の中では、それまで当用漢字表の中に入っていた「遵」の字が削られることになっていた。そこで日本新聞協会では、当該報告が案の段階で「遵」の代わりに「順」をあてるようにしたのである。

  • 守 → 
  • 法 → 

つまり本来は「遵守」代用が「順守」である。一方、公用文(公的文書や法令の文章など)や教科書などでは「遵守」のままであった。

公用文は「遵守」、新聞は「順守」

結局、当用漢字表審議報告の内容は決定に至らず、当用漢字表自体も廃止された。一方、新たに採用された常用漢字表の中には、「遵」の字が入っている。よって、現在では「遵守」と表記するのが正しいとも考えられる。

しかし新聞・放送業界では、長年「順守」と表記してきた経緯があるため、引き続き「順守」を使用している。そのため公用文や教科書などでは「遵守」を、新聞やテレビなどでは「順守」を使用する傾向にある。

まとめ

遵守順守
共通点【読み方】じゅんしゅ
【意味】法律・規則などを守る
新聞業界における表記本来代用(当用漢字表審議報告以来)
使用される場面公用文・教科書など新聞・テレビなど
(長年の表記を優先)